[サンフランシスコ 20日 ロイター] - 8月から9月にかけて米南部やプエルトリコに相次いで襲来したハリケーン「ハービー」、「イルマ」、「マリア」による被害の影響が足元で米企業の収益を圧迫している。

ハリケーンの被害で損害保険会社に多額の支払いが発生するほか、多数の小売業者、製造業者、銀行も打撃を受けている。

トムソン・ロイターの分析によると、ここ数週間で第3・四半期決算を発表したS&P総合500種企業のうち、オートバイメーカーのハーレーダビッドソン<HOG.N>やデルタ航空<DAL.N>、会員制倉庫型ストアのコストコホールセール<COST.O>を含む半数以上が、アナリストとの電話会見でハリケーンが自社の事業に一定の悪影響をもたらしたとの見方を示した。

ハーレーダビッドソンのジョン・オリン最高財務責任者(CFO)は17日の決算発表後、「ハリケーンの影響が四半期小売販売を1.5─2%程度押し下げたと推計している」と述べた。

S&P総合500種企業の少なくとも48社の上級幹部は、電話会見でハリケーンが自社の事業に及ぼしたマイナスの影響に言及している。

銀行大手USバンコープ<USB.N>や医薬品大手アボット・ラボラトリーズ<ABT.N>など少なくとも12社は、9月にメキシコで発生した大地震が自社の事業にもらたした悪影響について言及している。

保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)<AIG.N>はハービーとイルマに関連した税引き前損失として約10億ドルずつ、マリアに関連した同損失として最大7億ドルを想定。さらにメキシコで発生した大地震を含めた追加の自然災害損失として約1億5000万ドルを見込んでいる。

また損害保険大手トラベラーズ<TRV.N>は、ハービーやイルマなどに関連した自然災害損失として7億ドルを計上した。

トムソン・ロイター・エスティメーツによると、S&P500種企業の特殊要因を除いた1株当たりの利益は第3・四半期に4.2%増加する見通し。これは過去1年間で最も低い伸びとなる。

保険会社を除くS&P500種企業は6.9%の増益が見込まれる一方、保険会社は63.3%の減益となる見通しだ。

米連邦準備理事会(FRB)が17日発表した9月の鉱工業生産では、ハリケーンの影響により生産が妨げられ、持ち直しの動きが鈍った状況が示された。

それでも、ハリケーンの影響で株価上昇の流れが止まったわけではない。S&P総合500種指数は年初来で15%上昇。トムソン・ロイター・データストリームによると、S&P総合500種の業績見通しに基づく株価収益率(PER)は2002年以降で最も高い18倍で推移している。

S&P総合500種損害保険株指数は20日、ハリケーン襲来時の急落から持ち直して過去最高を更新した。多数の投資家は、保険各社は損失を埋め合わせるため保険料を引き上げると考えている。

一方、複合企業ドーバー<DOV.N>のロバート・リビングストン最高経営責任者(CEO)によると、同社はハービーの影響でテキサス州内の工場を4─5日間停止。その後、残業代などのコストが四半期の1株利益を最大で0.02ドル押し下げたという。

また大手工具メーカーのスナップオン<SNA.N>は、ハリケーンの影響でテキサス州、フロリダ州とプエルトリコの売上高が800万ドル程度減少したと推計している。

オンライン決済サービスのペイパル・ホールディングス<PYPL.O>は延滞金の免除や引当金の積み増しにより、前四半期の1株利益が約0.01ドル押し下げられた。

さらに日用品大手プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)<PG.N>は20日、ハリケーンの影響で米メキシコ湾岸の操業と、大地震の影響でメキシコ国内の操業をいずれも一時停止すると発表した。

こうした中、テキサス州とフロリダ州では約60万戸の住宅で屋根を修復しなければならず、USGコープ<USG.N>やオーウェンズ・コーニング<OC.N>、イーグル・マテリアルズ<EXP.N>など建材会社の株価はハービーがテキサス州を襲撃した直前と比べて17─30%値上がりしている。

被害を受けた住宅の所有者が修復の支出を増やすとの見方から、ホームセンター最大手であるホームデポ<HD.N>の株価は8月末から9%上昇している。

ラーデンバーグ・サルマン・アセット・マネジメントのフィル・ブランカト氏は一連のハリケーンについて「労働力と支出に甚大な影響をもたらすほど大規模だった」と指摘。「だが振り子と同じで、当初は悪影響をもたらすが、復旧が進んで在庫が積み上げられるのに伴い、逆方向に揺り戻されると思う」と語った。

(Noel Randewich記者)