長時間労働が減っているのに過労死が注目される意外な理由

長時間労働は
減少傾向にある

 電通の新入社員でインターネット広告を担当していた、当時24歳の女性が2015年末に過労により自殺したのを受けて、翌年の秋以降、過労死問題がクローズアップされている。

 果たして、過労に結びつく長時間労働は増加しているのか。今回は、この点を統計データで確認するとともに、日本における長時間労働と仕事のストレスの関係を、国際的な比較の中で明らかにしたい。

 長時間労働は、統計上、週労働時間49時間以上、ないし60時間以上で区分されていることが多い。過労死ラインは、時間外労働が月間80時間(月に20日出勤とすると、1日4時間以上の残業・12時間労働)とされているので、このレベルに近い週60時間以上を、ここでは長時間労働と見なすこととする。