10月24日、地方企業で経営者の高齢化が深刻化する中、地銀各行が事業承継の支援策としてM&A(企業の合併・吸収)仲介に力を入れ始めた。写真はケービックスの井上哲孝社長(左)と日本料理の料理人の篠原邦也氏。前橋で8月撮影(2017年 ロイター/Junko Fujita)

[前橋 24日 ロイター] - 地方企業で経営者の高齢化が深刻化する中、地銀各行が事業承継の支援策としてM&A(企業の合併・吸収)仲介に力を入れ始めた。「顧客企業の経営が継続できなければ、最終的に銀行収益の減少につながる」という危機感が高まっているためだ。金利サービスなどに軸足を置いてきた地銀にとって新たな収益源として期待される一方、M&A事業の人員増強などの課題も浮上している。

負のイメージ払しょくへ説得

 日本料理の全国大会での優勝経験もあるベテラン料理人、篠原邦也氏は1999年に設立した群馬県前橋市の企業「邦堂」を昨年、同市の施設運営アウトソーシング請負のケービックスに売却した。邦堂は同市の老舗割烹「くろ松」を運営する。70代に入った自身の高齢化などで事業継承に悩んだ末の決断だった。

「どうせ廃業するのであれば企業価値が高いときがよいと思っていた。追い込まれて廃業するのは倒産するに等しい」と考えていた篠原氏だが、当初、事業の売却にはマイナスのイメージが拭えなかったという。

 しかし、相談を持ちかけられた群馬銀行のコンサルティング営業部の推進役、信澤一貴氏は、M&Aが最善の解決策になると判断。篠原氏の説得にあたる一方、ケービックスの井上哲孝社長に買収を持ちかけた。ビジネスの裾野を拡大したいと考えていた同社にとってタイムリーな案件となり、5件目の事業買収につながった。