旬を楽しみ、身体が喜ぶ 江戸料理
【第8回】 2011年11月4日 車 浮代

「新蕎麦」の美味しい季節には、
風情溢れる“江戸前”蕎麦料理づくし

「香り」「歯触り」「のどごし」――。

 蕎麦の醍醐味が三拍子揃った“新蕎麦”の季節です。

『新そば入荷しました』という蕎麦屋の貼り紙に、心躍らされる御仁も多いことでしょう。

 挽きたて・生粉《きこ》打ち(蕎麦粉100%で打った蕎麦のこと)の新蕎麦をいただくといつも、「日本人に生まれて良かった…」と感じ、「また1年が経ったのだな…」と感慨に耽ります。

 とはいえ、私は昔から蕎麦が好きだったわけではありません。

“け(き)つねうどん”の町、大阪で生まれ育った筆者は、蕎麦をおいしいと思うことなく育ちました。

 約20年前までは、手打ちそばの店自体、大阪にはあまりなかったように思います。

蕎麦粉うす焼き
【材料】蕎麦粉…100g/水…180ml/柚子味噌…適量/すりごま…適量
【作り方】①「蕎麦がき」を作り、上下をラップではさんで、麺棒で平らに伸ばす。②表面に柚子味噌を塗り、オーブントースターやホットプレートで焼き、食べやすい大きさに切ってすりごまをかける。

 蕎麦の産地・信州に嫁いで初めて、蕎麦が白いこと、弾力(コシ)があること、香りがあることに驚き、「今まで私が食べてきたモノはなんだったの?」と衝撃を受けました。

 蕎麦は、食べ重ねるにつれ、香りに敏感になり、味の違いがわかってくるものです。

 いろいろな店を食べ比べると、麺・つゆそれぞれの個性の違いがおもしろく、うどん派から蕎麦派に転んだというわけです。

 逆のエピソードで、それまで普通に蕎麦を食べていた大阪の友人が、信州の蕎麦を食べたとたん、自分が蕎麦アレルギーだと判明し、以降蕎麦を食べられなくなったという笑えない話があります。

 これまでいかに、蕎麦粉が入っていない蕎麦を食べていたかという現れですね。

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旬を楽しみ、身体が喜ぶ 江戸料理

栄養価の高い旬の食材を、あまり手を加えずにいただく――。これが江戸料理の醍醐味であり、健康長寿につながる正しい食のあり方だと思います。このコラムでは、江戸料理と健康をテーマに、食材ごとの情報とレシピをご紹介していきます。

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