経営×ソーシャル
ソーシャルメディア進化論2017
2017年11月7日
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武田 隆 [クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]

野中郁次郎氏も注目する“機動戦”に適した組織の形とは?

【野中郁次郎氏×武田隆氏 対談4】

環境の変化が激しさを増すなか、機動力のある組織づくりが世界的にも関心を集めている。では、変化にも迅速に対応できる機動的な組織の理想形とは、どのようなものなのだろうか。その理想に近い組織として、一橋大学の野中郁次郎名誉教授はアメリカ海兵隊の任務部隊、MAGTF(マグタフ)の名を挙げる。「世界に例を見ない組織構造」と野中氏が言うその組織構造とは?

ミドル・アップダウンを実現する
理想の組織は「フラクタル型」

武田 前回は、トップダウンとボトムアップ双方には弱点があり、その弱点を克服するマネジメント・スタイルとして、野中先生は中間管理職発信型の「ミドル・アップダウン」に着目されている、というお話を伺いました。

野中郁次郎(のなか・いくじろう)
1935年(昭和10年)、東京に生まれる。早稲田大学政治経済学部卒業。富士電機製造株式会社勤務ののち、カリフォルニア大学経営大学院(バークレー校)にてPh.D.取得。南山大学経営学部教授、防衛大学校社会科学教室教授、北陸先端科学技術大学院大学教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授などを歴任。一橋大学名誉教授。著書に『組織と市場』(千倉書房、1974年。増補新装版、2014年)、『失敗の本質』(共著、ダイヤモンド社、1984年。中公文庫、1991年)、『知識創造の経営』(日本経済新聞社、1990年)、『アメリカ海兵隊』(中公新書、1995年)、『知識創造経営のプリンシプル』(共著、東洋経済新報社、2012年)、『戦略論の名著』(編著、中公新書、2013年)、『実践 ソーシャルイノベーション』(共著、千倉書房、2014年)、『全員経営』(共著、日本経済新聞社、2015年)、『知的機動力の本質』(中央公論社、2017年)、『日本の企業家 7 本田宗一郎 夢を追い続けた知的バーバリアン』(PHP経営叢書、2017年)などがある

野中 組織的な知識創造においては、ミドルの存在が鍵を握っているというのが僕らの主張です。しかし、ミドル・アップダウンが有効に機能するためには、それを支える組織構造が必要になります。

武田 先生は『知識創造企業』の中で、ミドル・アップダウンに有効な組織構造として「ハイパーテキスト型組織」を提唱されていますね。

野中 ええ。以前は「ハイパーテキスト型組織」と言っていましたが、今は研究をさらに進め、フラクタル組織という概念にまとめています。

武田 それはどのようなものですか?

野中 フラクタル組織とは、部分と全体が相似の関係にあり、どこの部分をとっても全体を代表するように自律分散的に行動している組織のことです。

野中 そもそもフラクタルとは、数学者ブノア・マンデルブロが提唱した幾何学の概念であり、全体を細分化していっても最初と同じ形が現れるという自己相似性を持ちます。一方、部分を合わせて全体をつくると、これまた部分と同じ形になる。いわば「入れ子構造」のようなものです。

武田 おもしろいですね。フラクタル組織の例としては、どのようなものがあるのでしょうか。

野中 代表例は、アメリカ海兵隊のMAGTF(マグタフ)です。



武田 隆(たけだ・たかし) [クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]

日本大学芸術学部在学中の1996年、前身となるエイベック研究所を創業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「消費者コミュニティ」の理論と手法を開発し、複数の特許を取得。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。これまでに森永乳業、ライオン、資生堂ジャパンをはじめ、300社超のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア(矢野経済研究所調べ)。2015年、ベルリンと大阪に支局を開設。著書『ソーシャルメディア進化論』は松岡正剛の日本最大級の書評サイト「千夜千冊」にも取り上げられ、ロングセラーに。また、CSR活動の一環としてJFN(FM)系列ラジオ番組「企業の遺伝子」のパーソナリティも務める。1974年生まれ。海浜幕張出身。


ソーシャルメディア進化論2017

花王、ベネッセ、カゴメ、レナウン、ユーキャンはじめ約300社の支援実績を誇るソーシャルメディア・マーケティングの第一人者、クオンの代表取締役 武田隆氏が、ダイナミックに進化し続けるソーシャルメディアの現在と未来に独自の視点から迫る!

「ソーシャルメディア進化論2017」

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