リッツ・カールトンの舞台裏でも、
「ブロークン・イングリッシュ」が!

「超一流」と呼ばれるホテルでは、ホテル内で使用する独特の表現や言語を統一しています。
  リッツ・カールトンでは、「Ritz-Carlton verbiage」(リッツ・カールトン言語)を使って、お客様をお迎えしています。
  ですが、スタッフ同士のやりとりでは、「ブロークン・イングリッシュ」が日常的に使われています。私が、リッツ・カールトンの舞台裏で学んだ「ブロークンな英語表現」をいくつかご紹介しましょう。

【リッツ・カールトンで学んだ舞台裏英語】

●He's a headache.
(彼は困った人だ。頭痛の種だ)

  上司が出張先から戻ってくることになり、同僚のマスティはしかめ面をしました。
「ボスが出張から帰ってくると、ぼくの仕事が増えるんだよねぇ。
彼は鳴り物入りでこのホテルに来たけど、ぼくにとっては頭痛の種なんだ(笑)。He's a headache.

●Good grief.
(まいったな)

  これから2人でお客様へ訪問予定なのに、ダイアンは待合せ場所に姿を見せません。時間を気にするハンス。約束の時間まで、あと5分。「このままだと間に合わないぞ。ダイアンはいったい何をしているんだ……。Good grief.(まいったな)」

●Hang in there!
(がんばれ!)(くじけるな!)

  急ぎの企画書を書き上げるのに、昼食をとる時間がないほど忙しいときがありました。秘書のマリアが思わずつぶやきます。
Goodness. I'm starving.
(あぁ、お腹がペコペコ)
  そんなマリアを、私は励まします。
Maria, we are almost there. Hang in there!
( マリア、あとちょっとで仕上がるから。がんばれ!)

●Something's fishy.
(なんか変だな)

「fishy」には「生臭い、魚のようなにおい」という意味がありますから、「何かおかしいな? きな臭いな? あやしいな」と思ったときに「Something's fishy.」と言います。

●It's your baby.
(それはあんたの責任だ。おれには関係ない)

  営業担当のマリリンが言いました。
「今日到着するランドル氏とのディナーだけど、あたし、あの人ちょっと苦手なのよね。ねえ、誰か代わってくれない?」
  するとみんなは、「あんたの担当だろ。悪いけど、あんたが行くしかないぜ。It's your baby, Marilyn.

●She has no mean bone.
(彼女には悪意がまったくない)

  bone =骨。直訳すれば、「意地悪な骨が1本もない」。相手の人格をほめる表現の一つです。
  スーザン・スワイハートというコンベンションマネージャーがいました。彼女は、お客様からの無理難題にもニコニコと対応し、全力で打ち込んでいくのです。
「She is such a sweetheart. She has no mean bone.
(彼女は本当にやさしくていい人。彼女からは悪意というものをまったく感じることがないね)

  明日以降金曜まで毎日連載!まだまだ続く「高野式イングリッシュ」をお楽しみに!

<第2回>11月15日(火)⇒英語上達のコツは一つしかない!感性を磨く高野式“回文”「Madam, I'm Adam.」
<第3回>11月16日(水)⇒いまだから明かす 「アングラバー」で学んだ“ちょっとアブナイ”英語
<第4回>11月17日(木)⇒私が地雷を踏んだ忘れられないフレーズ!「センターピンを外さない表現」はこうして身につける!
<最終回>11月18日(金)⇒「You とMe と、Eat Meat」でOK!(今日の夕食はステーキですよ)「生きた英語」はストリートで身につけよう!


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【第1回】<br />初公開!【リッツ・カールトンの舞台裏英語】<br />そうか、そんな意味だったのか!<br />地雷を踏んだ「I can manage.」

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リッツ・カールトン本社で創業メンバーからクレドの薫陶を受け、94~2009年の間、日本支社長として、リッツ・カールトン大阪、リッツ・カールトン東京の開業をサポート。「Ritz-Carlton is nobody.」だった状態を日本でブランド化した立役者・高野登氏初の英語本!リッツ・カールトンの舞台裏英語から、日本人が踏みやすい地雷フレーズまで、英語を通じたおもてなしの真髄が満載。ぜひご一読ください。

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高野 登(たかの・のぼる)
人とホスピタリティ研究所所長。前ザ・リッツ・カールトン・ホテル日本支社長。1953年長野県戸隠生まれ。ホテルスクール卒業後、単身アメリカに渡り、20年間、ヒルトン、プラザホテルなどでホテルマンとして活躍。90年にはリッツ・カールトンの創業メンバーとともに開業に尽力。94年以降、日本支社長として、大阪と東京の開業をサポート。日本にリッツ・カールトンブランドを根づかせる。日本全国から企業研修、講演依頼があとを絶たない。