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吉田恒のデータが語る為替の法則

ギリシャの混乱でも、米雇用統計悪化でも
リスクオフは限定的か。そう考えるワケは?

吉田 恒
【第163回】 2011年11月7日
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 今夜、11月4日(金)に、マーケットの注目度の高い10月分の米国雇用統計が発表されます。ただ、結論から言えば、悪い内容が出ても、リスク回避、リスクオフといった反応は限られると、私は思っています。

 その一方で、市場予想よりも良い結果が出て、リスク選好、リスクオンとなった場合は、比較的素直な反応になるのではないでしょうか?

リスク回避が限界に達し、その逆流が起きている

 冒頭のように考えている一番の理由は、リスク回避の取引がかなり限界に達していると思っているためです。それは為替相場の場合、とりわけ当てはまるのではないでしょうか?

 為替相場のリスク回避とは、リスク資産を売って、その対価として安全資産を買うといった理解が一般的でしょう。ただ、その安全資産はすでに「買われ過ぎ」になっているようです。

 「資料1」は米ドルのポジションに関するデータですが、これを見ると、米ドルは10月下旬に、経験的に「買われ過ぎ」の限界圏に達していたことがおわかりいただけるでしょう。

資料1

 

 このように、「安全資産」とされる米ドルが「買われ過ぎ」の限界圏に達していたことから、リスク回避の取引が鈍くなってきたということではないでしょうか?

 振り返ってみると、10月下旬のEU(欧州連合)サミットで合意された欧州債務危機対策は、決してポジティブ・サプライズとはなりませんでしたが、失望によるリスク回避は起こりませんでした。

 これは、リスク回避がすでに限界に達し、その修正を余儀なくされる段階に入っていたからと考えると、納得できるでしょう。

米雇用統計が良い結果だった場合、米ドル/円はどうなる?

 今週は、ギリシャの首相から突然、「国民投票を実施し、支援を受け入れるか判断する」といった爆弾発言が飛び出したことから、世界の金融市場は再びリスク回避に追い込まれました。

 ただ、週末になって、国民投票が取り下げられる可能性も出てきたことから、ギリシャ・ショックに伴うリスク回避も一進一退となってきました。

 この背景には、これまで見てきたように、そもそもリスク回避がいったん限界圏に達しており、一段と拡大するには無理がある状況になっていることが大きいと思っています。

 以上のように考えると、米国雇用統計に対する反応も、市場予想より悪い結果となっても、リスク回避、リスクオフといった反応には限界があり、リスクオフとはなりにくいと思います。

 一方で、市場予想より良ければ、素直にリスクオンといった反応になる可能性が高いと思います。

 それでは、リスクオンの反応となった場合、米ドル/円はどうかと言えば、基本的には、米ドル高・円安となるのではないでしょうか?

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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