[フランクフルト 26日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は26日に開いた理事会で、量的緩和策の縮小を決定した。現在月額600億ユーロとしている債券買い入れの規模を来年1月から月額300億ユーロに半減し、約3年前に導入した異例の緩和政策の解除に乗り出す。

同時に、ユーロ圏にはなお緩和継続が必要と強調し、買い入れは9月末まで継続する。さらに必要に応じ、債券購入の増額や再延長の選択肢も残した。

主要政策金利は0.00%に、中銀預金金利はマイナス0.40%にそれぞれ据え置いた。据え置きは予想通りだった。

ドラギECB総裁は理事会後の会見で、政策の変更を「再調整」と呼び、景気拡大とインフレ率押し上げに向けた取り組み継続を示唆した。

ドラギ総裁は域内の経済見通しは改善したとしつつも、コアインフレ率が上昇基調にある明確な兆候はないと強調。「域内の物価圧力は引き続き総じて抑制されており、経済見通しやインフレの軌道はなお金融政策による支援の継続にかかっている」とし、「大規模な金融刺激が依然として必要だ」と語った。

ECBは約3年前、量的緩和政策を導入。2兆ユーロ超の債券購入はユーロ圏の借り入れコスト抑制と成長押し上げに寄与した。ところがインフレ率の伸びはいまだ鈍く、ECBが目標とする2%弱の水準には達していない。

こうした状況を踏まえ、ECBは今後も大規模な流動性を供給していくことを確約。買入れプログラムを突然終了することはないとし、再延長の可能性にも含みを残した。

声明は「見通しが幾分悪化する、もしくは金融環境がインフレ軌道の持続的な調整に向けた一段の進展と整合しない状況になれば、理事会は資産買い入れプログラムの規模拡大、あるいは期間延長の用意がある」とした。

ドラギ総裁は今回の決定について「テーパリング(段階的縮小)ではない。単なる小規模化だ」と強調。さらに「オープンエンド型のプログラムを決定した。資産買い入れプログラムが突然終了されることはない」としたうえで「かなりの先行き不透明感が存在する」と語った。

INGのエコノミスト、カーステン・ブレゼスキ氏は「今回の決定は、ECBの危機モードからの極めて穏やかな出口に向けたささやかな一歩であり、大掛かりな反転というわけではない」と指摘。「ユーロや債券利回りの上昇を招くことなく、可能な限り慎重に出口戦略を開始したいとの考えが浮き彫りになった」と述べた。

今回の慎重な動きの裏には、ユーロ上昇を巡る懸念も見え隠れする。ユーロは夏に対ドルで上昇した。

ドラギ総裁が「ユーロの動向を注視する必要」という文言に触れなかったにも関わらず、ユーロはECBの決定を受け、対ドルで約0.8%下落した。

ドラギ総裁はまた、今回の決定は全会一致ではなく、理事会内で見解の相違があったことを明らかにした。

とりわけオープンエンド型プログラムの維持が争点となったもようだが、ドラギ総裁は、大多数がオープンエンド型プログラムをとどめることを支持し、他の案件を巡っては全会一致、もしくはほぼ全会一致での決定だったと語った。

ドイツ連銀やオランダ中銀などのタカ派は、成長はトレンドを上回る状況まで改善し、資産買い入れの継続はインフレを煽ると主張。債券買い入れプログラムの終了へのコミットを示すことを求めていた。半面、周辺国の中銀の間からは、急激なペースでの緩和解除は金融状況を悪化させる可能性があり、これまでの取り組みによる効果が台無しになるとの声が上がっていた。

ユーロ圏の成長については、ドラギ総裁は雇用や家計支出、輸出が底堅く推移していることに言及し、「最新のデータや調査結果は、今年下期の成長の勢いが弱まっていないことを示唆している」とした。

また、買い入れ対象となる債券の不足によってプログラムが制約を受けるとの指摘に対しては「われわれのプログラムには十分な柔軟性があるため、われわれは規模を調整することが可能だ」と言明した。

ECBの決定を受け、ユーロ圏債利回りは低下。資産購入規模は縮小しても、買い入れの継続が決まったことで安心感が広がったとトレーダーは指摘した。

*内容を追加しました。