[東京 27日 ロイター] - 28日から11月5日まで一般公開される東京モーターショー。メーカー各社はAI(人工知能)や自動運転などの新技術を搭載した電動車を中心に「未来の車」を披露する。

電動車の中でもひときわ目立つのが電気自動車(EV)の多さだ。ただ、日本勢としては最大手のトヨタ自動車<7203.T>は水素で走る燃料電池車(FCV)も展示し、エコカー分野ではあくまで全方位で攻め続ける姿勢をみせた。

欧州や中国などでの環境規制への対応に迫られ、普及が加速しそうなEV。ホンダ<7267.T>は自動運転やAIを搭載したEVや、スポーツカータイプのEVなどを出展する。25日の報道陣向け公開では、同社の八郷隆弘社長が小型のEVを、2019年に欧州で、続いて20年に日本でも投入することを表明した。

スズキ<7269.T>や、トヨタの完全子会社であるダイハツ工業といった小型車メーカーもそれぞれEVを披露した。ダイハツの奥平総一郎社長は「環境分野では、パワートレーンの電動化が今後、必要不可欠な技術」と指摘。「毎日の仕事や通院、買い物など日常生活に密着したスモールカーにこそ、どこでも充電できてメンテナンスもしやすいEVはマッチする」と述べた。

<「全固体電池」の開発計画に言及>

「EVが近い将来、重要なソリューションの一つとなることは疑う余地がない」、トヨタのディディエ・ルロワ副社長もこう強調。同社が長年研究に取り組み、EVの性能を高めるとされる「全固体電池」についても猛アピールした。

全固体電池は「航続距離を飛躍的に改善する」、「ゲームチェンジャーになる技術」、「トヨタは特許出願件数で世界トップ」と紹介。技術者200人が開発に携わり、「20年代前半の実用化を目指して開発を加速している」と、初めて同電池の開発計画も口にした。トヨタが過去のモーターショーでこれほどまでEVについて熱く語ったことはない。

<FCVの後退を意味せず>

しかし、ルロワ副社長はこう言葉を添えることも忘れなかった。「FCVへの取り組みが後退するという意味ではない」――。同社は今回、EVのほか、現行のセダン型量産車「ミライ」の約1.5倍の航続距離1000キロメートルを想定した、ミニバンタイプの「ファインコンフォート・ライド」、来年から東京都内を走り始めるバス「ソラ」のFCV2種類も展示している。

トヨタは、「究極のエコカー」と位置付けて巨額の開発投資を長年続けてきたFCVの旗を簡単に降ろすわけにいかない。専門家らによれば、FCVはEVより早く燃料補給でき、より長い距離を走行できるため、大型車両のパワートレーンの選択肢になる可能性があるという。

<EVはまだコストが課題>

ホンダもFCVを販売しているが、今回のモーターショーでは出展はせず、EVを前面に打ち出した。八郷社長はEVについて「コストが一番の課題」とし、「事業としてはまだ難しいところもある」と説明。コストを下げるため、プラットフォームの共通化や「数を束ねていくということが必要だ」とした。

自動車メーカーやサプライヤーは、バッテリー技術が進化して充電時間が短くなったりコストが下がったりすれば、今後10年間でEVの販売は拡大すると予想。EVもガソリン車と遜色ない競争力のある価格になるのではないか、と期待を寄せている。

「リーフ」でEV市場をけん引してきた日産自動車<7201.T>のダニエレ・スキラッチ副社長は「25年頃に転換期を迎える」とみており、「その頃には顧客がガソリン車とEVが同じくらいの価格で買えるようになっているだろう」と予測する。

SUBARU<7270.T>の吉永泰之社長はトヨタとマツダ<7261.T>、デンソー<6902.T>が共同で設立したEV基幹技術の開発会社への参画に、出資も含めて前向きだ。単独ではコストも下げにくく、「いきなりEVの世界が来ると思わせるような報道もあるが、コストを含めた革新技術が進んでいかないと一気に普及するのはなかなか難しい」と話した。

(白木真紀 取材協力:山崎牧子、白水徳彦)