いかにチャンスに飛びつくか
それが大きな分かれ道

大塚:『30代を後悔しない50のリスト』では、チャンスがあれば迷わず食いついて細かいことはあとで考えることが後悔しない秘訣だと紹介しています。確かに迷わず食いつくと、あとで痛い思いをするかもしれませんが、そこから学べる経験のほうがずっと役立つんですよね。多くの人は「飛びつく」ことができずに後悔を繰り返していますが、桑野さんはチャンスに飛びついたわけですね。ところで、その痛い経験から具体的には何を学ばれましたか?

桑野:あのとき学んだのは、やはりビジネスモデルがしっかりしてないことをやっても儲からないということです。そのあとは、ちゃんと儲かる仕組みがあるものをやってきました。それから、僕が入ったときには50人くらい社員がいたんですけれど、みんなインターネットの素人だったんです。いくら人がたくさんいても、素人ばかり50人いても何もできませんよね。そのころ思ったのは、仕事のできる人間1人のほうが、普通の人間3人よりも断然いい、人数よりも能力が大事ということです。

 その後のポリシーとして、できるだけヘッドカウントを少なくして、その代わり優秀な人間を採用するようにしています。優秀な人の年収はもちろん高くなりますが、普通の人を3人雇う人件費よりは優秀な人を1人雇った方が結果としては安くなる。そのことをすごく学びましたね。普通の人がいっぱいいると、一から説明しなくちゃいけなくてコミュニケーションに時間がかかるし、普通の人のなかの中間管理職みたいな人が必ず出てきてしまうんです。

 あと、普通の人は普通の人しか雇わないんですが、優秀な人というのは必ず自分より優秀な人を雇う。自分よりも優秀な人を雇うということは、利益を出せる会社になるためにはとても大事なことだと思っています。いま経営している僕の会社、ルビー・グループは、インターネットでラグジュアリーブランドさんのEコマース支援を行う会社なんですが、3人で創業して、ほかの役員の2人がすごく優秀なんです。

大塚:とにかくチャンスに飛びついて手にした、リッスンジャパンの社長を1年やって、最初は全然自分のイメージと違っていたり、リストラとか辛いこともたくさん経験されたけれども、それ以降の経営者としての考え方とか、いまの骨格になっていることを学べたわけですね。最初におっしゃっていた、『30代を後悔しない50のリスト』で共感していただいた「失敗から真剣に学ぶべきだった」という二つ目の先人たちの後悔は、まさに桑野さん自身が「失敗から学んだ」わけで、ここで学ばなかったら必ず後悔していたはずだったと、今から振り返って思うということですよね。

桑野:そうですね。いろいろと失敗から学ばせていただきました。社長の一番大事な仕事って、やはりお金の出入りを管理することだということが、この経験からはじめてわかりました。キャッシュフローが一番大事。そういうことも勉強させていただきました。

大塚:なるほど。そうやって、チャンスに迷わず飛びつき、失敗したらその失敗からきちんと学び、経験を確実に活かしていっているんですね。桑野さんの発想は、まさに「後悔しないリスト」とぴったり重なりますね。

12万部のベストセラーとなった『40代を後悔しない50のリスト』に続く[30代編]として、大塚寿さんの新刊『30代を後悔しない50のリスト』が発売されました。前作同様、1万人のインタビューを通してわかった等身大でリアルな50個の後悔から、明日を確かに生きるヒントが見つかります。人生の土台となる30代。格差の生まれるこの10年をいかに過ごすべきかを、本書から学んでみてください。

30代を後悔しないための<br />「チャンス」と「失敗」の活かし方<br />桑野克己×大塚寿 対談【前編】

 

30代を後悔しない50のリスト―1万人の失敗談からわかった人生の法則

大塚寿[著] 定価1500円(税込)
ダイヤモンド社
四六判・248ページ

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 【特別対談の日程
●第1回:「藤原和博×大塚寿」(前編)
●第2回:「藤原和博×大塚寿」(後編)
●第3回:「川北義則×大塚寿」(前編)
●第4回:「川北義則×大塚寿」(後編)
●第5回:「桑野克己×大塚寿」(前編)
●第6回:「桑野克己×大塚寿」(後編)(11/8)
●第7回:「渡辺佳恵×大塚寿」(前編)(11/10)
●第8回:「渡辺佳恵×大塚寿」(後編)(11/11)