AO・推薦入試対策に特化した講座で、圧倒的な実績を叩き出している早稲田塾。大学入試改革が迫る中、大学側もAO・推薦入試の定員増に向かっている。変わりゆく大学入試の現状と、偏差値ではなく、社会でも役立つ「人間力」の育成に注力する早稲田塾の教育理念に迫った。

就活時の企業の評価も高い
AO・推薦入試

早稲田塾
斎藤嘉邦 第一事業部長

 なぜ今、AO・推薦入試が注目されているのか? その大きな理由は、2020年の大学入試制度の刷新だ。従来の偏差値重視の暗記型試験ではなく、AO・推薦入試に通じる思考力・人物評価の入試へ移行する。すでに早慶上智など有力大学の多くが、その新方針の入試制度を先行導入しており、実際にAO・推薦入試の合格者は増加しているのだ。

 この2年間で国立大学のAO・推薦入試の定員は22,386人(15年度)から23,531人(17年度)と1,145人増加している。さらに、全ての国立大学が加盟する国立大学協会は、AO・推薦入試における入学者の割合を入学者全体の15%(16年度)から20年度までに30%に拡大する目標を立案、今後、急激に増加が加速していくということだ。

 難関私立大学では、文部科学省の方針による入試定員管理の厳格化により、合格者が絞られ一般入試合格者が減少する中、AO・推薦入試の合格者数は年々増加している。

 「この厳格化の流れは加速し、合格者数絞り込みのため、難関私立大学の一般入試の難度は年々増しています。例えば早稲田大学の場合、16年度の一般入試合格者(総数)を100とすると、19年度には63まで減少することが予測されています」

 そう説明するのは、早稲田塾の斎藤嘉邦・第一事業部長だ。

 大学側としても、入試定員管理厳格化の中で、数の調整が難しい一般入試ではなく、確実にカウントできるAO・推薦入試で合格者を多く確保したいという思惑があるのだろう。さらに大学側が一般入試の何倍もの労力をかけてAO・推薦入試を実施する背景には、旧来の知識偏重型の入試から脱却し、より質の高い学生を集めたいという思いがある。

 「AO・推薦入試は、「自己推薦書」「志望理由書」「課題レポート」などの提出書類や面接を通して人物や学力を見る入試であり、決して一芸入試ではありません。合格に求められる力は、大学入学後はもちろん社会へ出たときに必要とされる力なのです」(斎藤事業部長)

これからの世界で
求められる力
”を養う

 早稲田塾は、そのAO・推薦入試で圧倒的な合格実績を誇っている。17年度の早稲田・慶應・上智のAO・推薦入試において、早稲田塾生の合格率は54.2%。受験生全体の合格率32.1%と比較すると、合格率の高さは際立っている。特に18年度の慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)のAO入試では、200人の定員※1で64人※2、占有率32.0%の合格者を出した。

※1…Ⅰ期・Ⅱ期・9月入学合計、※2…11月7日現在、Ⅰ期+9月入学

 その秘訣は何なのか?

 一般的にAO・推薦入試で有利に働くのは、高校時代の活動記録(部活動の記録やコンテスト受賞、各種の資格など)だと思われがちだが、これは本質的に違う。早稲田塾が重要視しているのは偏差値などとは異なり数値化できない力、つまり「人間力」だという。

 「私たちが、生徒たちに特に身に付けてほしいと考えている力は、(1)表現力やコミュニケーション力(2)論理的に課題を発見し論理的に解決する能力(3)新たなものを生み出す創造力。これらが“これからの世界で求められる力”であると考えています」(斎藤事業部長)

 大切なのは知識の量だけではなく、答えがない問いに向かい合い、論理的に考え、仲間たちと協力しあって、創造的に答えを見出して行くことなのだ。生徒の本質や関心を見極めると、軸となる独自の強みが見えてくるという。

 人間力を鍛えることで、その強みは補強され、自分がどのようなバックグランドを持っているか、これまでの活動を具体的に自己アピールできるようになる。そして、将来なりたい人物像やそのために大学で何を学びたいか論理的表現ができるようになり、面接や小論文にも対応できるようになる。一言でいえば、小手先のスキルを伝達するのではなく、自分で学ぶ力を与えてゆくのだ。

AO・推薦入試のプロセスを経て
自分の軸を可視化

早稲田塾では「進路発見指導」がベースになる

 早稲田塾では、偏差値や成績を見て指導方針を決める通常の予備校と違い「進路発見指導」がベースになる。まず生徒自身が自己の歴史をふり返る「自分史」を作成し、「やりたいこと」や「目標」について考え、それに適した大学・学部を担当スタッフを共に探していくことから塾生活がスタートする。

 生徒は、志望大学合格に必要な講座を組み合わせることができる。具体的には、志望理由書から二次試験対策までAO・推薦入試に必要な全ての力を鍛える「AO・推薦入試特別講座」、論理的な思考力と文章力を養う「論文系講座」、実際の俳優などの表現のプロフェッショナルによるワークショップ「表現力開発講座」や、大学教授や有識者から直接指導を受ける「未来発見プログラム」。さらに英語4技能を集中して鍛える「英語特訓道場」や、AO・推薦入試に必要な基礎学力を身につけ、一般入試への備えを万全にする「東進講座」などが用意されている。

 斎藤事業部長はこう続ける。

 「 “人間力”は、誰でも磨けば必ず鍛えられる能力です。AO・推薦入試特別講座で、多くの人と意見を交わしながら表現力を身に付け、志望大学へ向けた目的意識を明確にし、時間をかけて醸成した信念があれば、面接でも揺らぐことなく自分自身の想いを表現できるようになります。生徒の成長を一番感じるのは、皆AO・推薦入試のプロセスを経て、自分の軸を可視化できるようになり、自己発見をして大学に進学していること。だからこそ早稲田塾の卒業生たちは、大学入学後も就職後も目的を持って活躍できていると思います」

 さらに、早稲田塾では、部活動をしている生徒を応援している。AO・推薦入試では、「今までどのようなことをやってきて、そこから何を得たか」、「得たものをどのように社会に生かしていくのか」が問われる。例えば、「誰よりも早く朝練に行った」「チームワークを深めるために、いろんな企画を提案・実行した」など、華々しい実績がなくても、部活で懸命に取り組み学んだことや、実際に成し遂げた経験から得たものは“自分について語る”上での大きな強みとなる。一人ひとりの経験や継続してきたことに光を当て、生徒の中に隠されている原石を発掘し磨き上げる。これが、高い実績の裏にある早稲田塾ならではの指導法なのだ。