不動産を高値で売却する方法[2017年]
2017年11月17日公開(2017年11月24日更新)
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ザイ・オンライン編集部

不動産を高値で売却したいなら、
「囲い込み」「両手取引」に気をつけよう!

マンション、戸建て、土地などの不動産を売却する際、悪徳不動産仲介会社に巧みに誘導され、知らないうちに不利益を被っている売り手は少なくない。不動産を高く売るためには、「囲い込み」や「両手取引」など、不動産業界に蔓延する売買のカラクリを頭に入れることが重要だ。

 「家は一生の買い物」と言われるように、多くの人にとって、持ち家を売却するのも一生に一度あるかどうかだ。そのため、不動産売却について正しい知識を持っている人は少ない。

 売却の場合、大抵は「住み替え」や「相続」、「離婚」といった複雑な事情が絡むため、できるだけ早く売りたがる売り手も多い。その焦りと知識不足につけ込んで、売り手の不利益を承知で自社の儲けを増やそうと企む不動産仲介会社や営業担当者が後を絶たない。住宅を購入する際には、物件や不動産仲介会社の情報をじっくりと腰を据えて調べる余裕があるのとは対照的だ。

 「そんな悪徳不動産仲介会社は、ほんの一握りだろう」と高を括ってはいけない。「干す」、「値こなし」、「囲い込み」といったテクニックで売り手を手玉に取り、「両手取引」でたんまりと儲けるのは、業界の悪しき慣行として未だにまかり通っており、大手の不動産仲介会社も例外ではない。

 “悪徳”不動産仲介会社の3つの常とう手段
「干す」 専任媒介契約を取った後、販売活動をろくに行わず、売り主の物件を放っておく。
「値こなし」 物件を“干した”後、買い手がつかないことを理由に、売り主に大幅な値下げを持ちかける。
「囲い込み」 不動産仲介会社(買い手の代理)から問い合わせがあっても、売り主の物件を紹介しない。
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売り手と買い手の双方から仲介手数料を取る「両手取引」のため!

 「干す」、「値こなし」、「囲い込み」は、法律違反も含む不誠実な行動だ。内容については、この後詳しく解説するが、不動産仲介会社は最終的に「両手取引」に持ち込むことで、手数料収入を約2倍にできる。不誠実な不動産仲介会社や営業担当者のカモにされれば、持ち家を安く買い叩かれる可能性もあるだけに、ぜひ不動産売買におけるカラクリを知っておきたい。

売り出し後、6週間経っても内見ゼロ
不動産仲介会社は一気に500万円の値下げを提案

 東京・新宿区のタワーマンションに住むSさんは、大手不動産仲介会社A社と専任媒介契約を結び、持ち家を売却することにした。複数の不動産仲介会社に査定を依頼したところ、A社が7500万円と最も高い価格を提示してきたからだ。

 不動産売却において仲介を依頼する場合、1社のみと契約を結ぶ「専任媒介契約(2種類)」と、複数の不動産仲介会社と同時に契約を結ぶ「一般媒介契約」の2種類がある。それぞれメリットとデメリットがあるが、不動産仲介会社は一般的に「専任媒介契約」を結びたがる。なぜなら「一般媒介契約」だと、ライバルの不動産仲介会社が買い手を見付けてきた場合、手数料収入を得られないからだ。

 3つの契約方法は以下の通りだ。

 不動産売却における3つの契約方法とは?
契約方法 専属専任
媒介契約
専任媒介契約 一般媒介契約
他社への売却仲介依頼 × ×
自ら探した相手との直接契約 ×
契約の有効期間 3カ月以内 3カ月以内 法令上の制限はなし(行政の指導では3カ月以内)
指定流通機構(レインズ)への登録 媒介契約締結の日から5日以内 媒介契約締結の日から7日以内 法令上の義務はなし(任意で登録できる)
業務処理状況の報告義務 1週間に1回以上 2週間に1回以上 法令上の義務はなし(任意で報告を求めることができる)

 A社の営業担当者は、「一般媒介契約だと広告宣伝に費用をかけられません。専任媒介契約なら責任を持ってお客様の物件を売却させていただきます」と言ってきた。Sさんはその言葉を信じて、専任媒介契約を結んだ。

 ちなみに、「専任媒介契約」を結んだこと自体は悪い判断ではない。実際に、多くの売り手は「専任媒介契約」を選んでいる。

 「一般媒介契約」だと買い手候補の間口は広がるが、その分、内見依頼がいろいろな不動産仲介会社から来れば、売り主自らがその調整をしないといけない。どの不動産仲介会社も宣伝に力を入れてくれず、いつまで経っても内見依頼が来なかったりするケースもある。持ち家が、いわゆる「売れ筋物件」ですぐに買い手が見つかると判断できる場合や、不動産売却の知識やノウハウがある人でないと、「一般媒介契約」は必ずしも賢い選択とは言えないのだ。

 Sさんの場合、問題だったのは「査定価格が高い」という理由でA社を選んでしまったことだ。査定価格は実際に売れる価格とは限らない。なかには、「専任媒介契約」を取りたいがために、地域の相場や他の不動産仲介会社より明らかに高い査定価格を提示してくる不動産仲介会社がいる。A社は、まさにそれだった。

 SさんはA社と専任媒介契約を結び、7500万円でマンションを売りに出した。しかし、それから6週間、内見依頼は1件も入らなかった。もともと、A社は相場より高い査定価格を提示しており、そのままの価格で売りに出したのだから、なかなか買い手がつかないのは、当然といってもいい。

 「専任媒介契約」の場合、不動産仲介会社は売り手に対して2週間に1回は販売活動の報告をする義務があるが、A社は「やるべきことはきちんとやっています」というだけで、具体的な中身はほとんどなかった。

 どんな営業活動をしているのかしつこく聞いたところ、「近隣に4回チラシをまきました」というが、Aさんのマンションに投函されたのは1度だけであり、本当かどうかは分からない。「大手不動産ポータルサイトにも掲載しました」というので見てみたら、掲載されている写真は外観と間取り図だけで、コメントもセールスポイントもない。新宿エリアにはその時点で約800件の物件が売りに出されていたが、Aさんのマンションが掲載されているのは750番目くらい。いくら掲載されているとはいえ、これでは見てくれる人はほとんどいないだろう。

 A社はSさんのマンションの売り出し価格が高すぎて、簡単には買い手がつかないことを分かっていて、真面目に販売活動を行っていなかったのだ。これを、業界用語で「干す」という。

 そして、6週間経ったとき、A社の営業担当者は「今の価格では売れないので、500万円下げましょう」と一気に値下げを要求してきた。これが「値こなし」だ。相場水準のこなれた価格に値段を下げることをいう。

 Sさんは営業担当者に言われたので、渋々、売り出し価格を7000万円に引き下げた。それでも買い手はなかなか現れない。A社が真面目に売る気があるのか不安になったSさんは、不動産会社を経営する、知り合いのBさんに頼んで、Sさんのマンションが内見できるかどうか尋ねてもらった。

 Bさんが、物件を扱っているA社に確認したところ、営業担当者はBさんに「あの物件はすでに商談中とのことで、内見はできません」と伝えたのである。SさんはA社から何の連絡を受けておらず、もちろん誰とも商談などしていない。

 不動産会社を経営するBさんによれば、「これは、A社が囲い込みをしている可能性が高いね」という。不動産売買の素人には聞き慣れない「囲い込み」とは何だろうか。

 不動産仲介会社が、買い手から物件情報の提供を依頼された場合、「レインズ(REINS)」と呼ばれる不動産仲介会社専用のデータベース(指定流通機構)で物件を検索して、買い手の希望に合う物件を探すことが多い。

 不動産仲介会社が売り手と「専任媒介契約」を結ぶと、物件情報をレインズに登録する義務がある。Sさんのマンションも当然、レインズに登録されていたはずだが、前述のように値段を下げても買い手は現れなかった。

 レインズで物件を見た買い手側の不動産仲介会社から問い合わせを受けても、売り手側の不動産仲介会社が、「すでに他のお客さんと契約交渉中だから」とか「もう買い手は決まっていて、情報を削除しようと思っていたところだった」などと理由をつけて、内見を断ることがある。これが「囲い込み」である。

 せっかく買い手側の不動産仲介会社から問い合わせが来たのに、なぜ物件を囲い込むのだろうか。それは売り手側の不動産仲介会社が「両手取引」(両手仲介とも言う)に持ち込みたいからだ。

 不動産仲介における手数料は、「成約価格の3%+6万円」(税別、売買価格が400万円未満の場合)が上限と宅地建物取引業法で定められている。

 売り手か買い主のどちらか一方から手数料を受け取る「片手取引」に比べて、売り手と買い手の双方から手数料を受け取る「両手取引」なら手数料収入は2倍になる。不動産仲介会社や営業担当者にとっては、効率よく稼げる「両手取引」はおいしい商売なのだ。

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 これが、自社で買い手を見つけるまで売り手の物件を他の不動産仲介会社には紹介せず、「囲い込み」を行うインセンティブとなっている。A社が地元の不動産会社B社に内見を断ったのは、自分で買い手を見つけて、売り手のSさんと買い手の双方から手数料を取るためだった可能性が高い。

 Bさんによれば、これまでも、レインズに登録されているのをみて、不動産仲介会社に内見依頼の電話をしても断られることが多く、一部の不動産仲介会社では「囲い込み」が半ば常識のように行われている可能性が高いという。

 不動産の仲介と中古住宅の買い取りの両方を行っている不動産仲介会社の場合は、さらに警戒する必要がある。中古住宅の買い取り不動産仲介会社は、なるべく安く物件を買い取り、リフォームなどをしたうえで高く売ることで利益を上げる。売り手の物件をさんざん「干して」、「値をこなし」、「囲い込み」で買い手がつかないようにした挙げ句、「買い手が現れませんね。○○万円なら当社が買い取りますよ」と買い叩くのだ。

 早く売って現金化せざるを得ない事情がある売り手は、「想定していた売却価格よりかなり安いけど仕方ない」と、こうした申し出に応じてしまうことがよくある。

「囲い込み」がバレないように
あえて「一般媒介」に誘導する例も

 『週刊ダイヤモンド』などが、2015年に「囲い込み」について大々的に報道したことで、国土交通省も重い腰を上げ、2016年1月から売り手がレインズの自分の登録データを見られるように制度を変更した(関連記事「大手不動産が不正行為か、流出する“爆弾データ”の衝撃」)。

 だが、それでも囲い込みは結局なくなってない。むしろ、「囲いこみが巧妙化している」(不動産仲介会社幹部)という証言もある。

 大手不動産会社の一部では、これまでの常とう手段だった「専任媒介契約」ではなく、あえて「一般媒介契約」を熱心に勧めるところが出てきたというのだ。

 「専任媒介」の場合は、レインズに物件情報と売買の状況を登録しなければならない。例えば、商談中であれば「書面による購入申込みあり」と登録しなければいけないのだ。そのため、違法な囲い込みをしていると、売り手がレインズを見に来ればバレてしまう。

 一方で、「一般媒介」には、レインズへの登録義務はなく、囲い込みをしていても、バレにくいのである。結局、知識がない売り手は、悪意ある不動産仲介会社に引っかかれば、損をすることになる。

 不動産仲介会社は、必ずしも売り手の利益を最優先するわけではない…。それを心に留めて、不動産売却について正しい知識を持って、信頼できる不動産仲介会社、営業担当者を慎重に選ぶこと。そのためにも複数の不動産仲介会社と話をしてみるのがおすすめだろう。

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