合成ゴムのトップメーカーであるとともに、半導体製造材料や液晶ディスプレイも主力事業だ。材料メーカーとしての戦略を聞いた。

JSR社長 小柴満信<br />エレキ材の海外拠点強化は円高対応でなく既定路線

──日系電機メーカーの苦戦や円高の加速など、エレクトロニクスの事業環境は厳しさが増している。今年度から始動した3ヵ年中期経営計画でこの領域の見直しはあるのか。

 海外展開に戦略変更はない。液晶ディスプレイでポジションを高めている韓国や台湾にはすでに生産拠点を持っており、現地の研究開発設備はさらに充実させていく。これは既定路線だ。円高の影響で展開が加速したり減速することはない。

──国内電機メーカーの弱体化に引きずられないか。

 重要なのはどこにマーケットがあるか、である。

 日本では1980年代後半から半導体製造の材料で系列化が進み、独立系の当社は世界市場で勝負せざるをえなかった。ところが乗り込んだ欧米で、日本で育てた技術が通用しない現実に直面。国内外を問わず、顧客のいる場所で研究開発を行う戦略へと転換した。