[東京 1日 ロイター] - 日銀の中曽宏副総裁は、都内の日銀本店で開かれているフィンテック・フォーラムであいさつし、個人や産業活動が生み出す膨大な情報である「ビッグデータ」について、「中央銀行の業務や政策に大きなインプリケーションを持つ」とし、活用余地を常に検討していく必要がある、と語った。

中曽副総裁は「中央銀行の業務や政策はすべてにわたり、データの収集や処理と密接に連関している」と指摘。資金・証券決済や国庫金の事務処理のほか、金融政策を遂行するうえでも「さまざまな経済データの収集や分析が迅速かつ効率的に行われ、タイムリーに把握できることが重要な前提となる」と語った。

そのうえで、情報技術の進歩によって新たに入手が可能となったデータや、データの収集・処理に関する新しい技術の活用について、中銀として「常に検討を続けていく必要がある」と述べた。

ビッグデータの出現や、その処理能力の飛躍的な変化は、「経済活動や金融サービス全般に大きな影響を及ぼしつつある」との認識を示し、「広範な企業にとって、需要動向の的確な把握や事務の効率化、サービスの高付加価値化など、さまざまなかたちでの生産性向上につながり得る」と述べた。

金融分野においても、顧客ニーズの把握やリスク分析に活用することで金融サービスのさらなる高度化が図れるほか、新たな認証技術の精度向上や、広範な産業とのネットワーク形成なども期待できると指摘。

金融機関のリスク管理の精緻化や効率的なリスク再配分によって「金融の安定性が向上する可能性」に言及する一方、従来型の金融機関とは異なる企業が金融サービス分野に参入してくることが想定されるとし、「金融構造や金融安定などにいかなる影響を及ぼしていくのかなどについて、中央銀としてもしっかりフォローしていく必要がある」と語った。

(伊藤純夫)