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安東泰志の真・金融立国論

オリンパス、大王製紙……後を絶たない大型不祥事
日本企業のガバナンスは、なぜ機能不全に陥ったのか

安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]
【第15回】 2011年11月11日
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 大王製紙では、井川意高前会長による子会社からの100億円超の借入が特別背任に問われつつある。また、オリンパスでは、高額で買収した国内3社の減損処理や、英医療機器メーカー買収に際して助言会社に巨額の報酬を払っていたが、実は過去の有価証券投資に伴う損失を補てんするために行なわれたことが明るみに出た。

 大王製紙では、子会社の取締役会が機能せず、親会社の取締役会でもこの問題が取り上げられた形跡がない。オリンパスでも、これだけ重要な一連の取引に、取締役会や監査役のチェック機能が働いたとは思えない。

 産業金融のあり方を考える上で避けて通れないのが、コーポレートガバナンス論である。日本では「株主をはじめとするステークホルダーの利益を守るため」としてコーポレートガバナンスの見直しが叫ばれて久しく、実際に社外役員の導入なども進んでいる。にもかかわらず、これらの会社では、取締役会や監査役会が有効に機能しなかったことになる。

 そもそも、こうした事態に至る伏線として指摘したいのは、日本の旧い企業の実に多くが、米国型の株主利益重視のガバナンス体制に、露骨に抵抗する姿勢を崩していないことである。筆者は米国型のガバナンスが最善と考えているわけではないが、メインバンク制度と株式持ち合いをベースにした日本独自の「もたれ合い」的なガバナンス制度の疲弊が、長年に亘る日本の経済停滞の一つの要因であることは、そろそろコンセンサスにすべき時期なのではないだろうか。

株主・投資家の立場から見た
コーポレートガバナンス論

(1)コーポレートガバナンスとは

 「コーポレートガバナンス(企業統治)」とは、企業が社会倫理を守りつつ、利害関係者(ステークホルダー)に対して、その企業価値を最大化するための枠組みのことである。

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安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]

東京大学経済学部卒業、シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。1981年に三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、1988年より、東京三菱銀行ロンドン支店にて、非日系企業ファイナンス担当ヘッド。90年代に英国ならびに欧州大陸の多数の私的整理・企業再生案件について、参加各行を代表するコーディネーターとして手がけ、英国中央銀行による「ロンドンアプローチ・ワーキンググループ」に邦銀唯一のメンバーとして招聘される。帰国後、企画部・投資銀行企画部等を経て、2002年フェニックス・キャピタル(現・ニューホライズンキャピタル)を創業し、代表取締役CEOに就任。創業以来、主として国内機関投資家の出資による8本の企業再生ファンド(総額約2500億円)を組成、市田・近商ストア・東急建設・世紀東急工業・三菱自動車工業・ゴールドパック・ティアック・ソキア・日立ハウステック・まぐまぐなど、約90社の再生と成長を手掛ける。事業再生実務家協会理事。著書に『V字回復を実現するハゲタカファンドの事業再生』(幻冬舎メディアコンサルティング 2014年)。
 


安東泰志の真・金融立国論

相次ぐ破綻企業への公的資金の投入、金融緩和や為替介入を巡る日銀・財務省の迷走、そして中身の薄い新金融立国論・・・。銀行や年金などに滞留するお金が“リスクマネー”として企業に行き渡らないという日本の問題の根幹から目をそむけた、現状維持路線はもはや破綻をきたしている。日本の成長のために必要な“真”の金融立国論を、第一線で活躍する投資ファンドの代表者が具体的な事例をもとに語る。

「安東泰志の真・金融立国論」

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