Uktrasone

 Ultrasoneは11月3日、“秋のヘッドフォン祭2017”の会場で、新製品発表会を開催した。ここで4年ぶりの開放型ハイエンド機種「Edition 15」を紹介。999台限定で、価格は36万円(税抜)。年内の発売を予定している。

 CEOのミハエル・ツィルケル氏、CTOのアンドレアス・ヴァイティンガー氏がゲストとして招かれ、ライターの山本敦氏の質問に応じる形で製品を紹介した。

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 製品で用いられている技術は大きく6点。ダイナミックドライバーを使用する開放型の機種である点、広い音場を実現するS-Logic EXの採用、ミューメタルという特殊な金属を用い電磁波を低減するUltra Low Emission技術、新開発の振動板を利用したドライバーの開発、金属と木製素材を組み合わせたイヤーカップ、マグネットで簡単に着脱できるイヤーパッドだ。

 この中で注目したいのが、ハイブリッド振動板を採用した新開発のドライバーだ。GTCドライバー(GTCはGold Titanium Compaundの略)と名付けており、周辺にゴールド、中心にチタンコートを施している。それぞれの素材にはいい面と物足りない面があった。ゴールドはスムーズな低域だが、高域が物足りない。チタンは使い慣れているが、エージングに時間がかかる。そこで両者を使って、完璧な周波数特性を得るための試行錯誤をしたという。

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Ultrasone
Ultrasone
ドライバー

 ドライバーの開発に際しては、熱心なファンの期待に答えるために、時間をかけた。結果、9月頭まで練り上げることになり、ようやく最終決定して採用にこぎつけたそうだ。

 もうひとつは、新開発のイヤーパッドだ。

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左手前がレザー、右奥がベロア

 マグネット着脱式のパッドはEdition 8以降採用している。素材についてはマイクロベロアを標準とした。もともと革製にしていたが、偶然試してみたところ、音抜けや情報のきめ細かさが良質。そこでベロアをベースに、サウンドチューニングを突き詰めた。そのうえで革製と比較したところ低域の表現などに違いがあることが分かった。そこでベロア素材を標準とし、オプションでメリノシープスキンパッドも選べるようにした。レザーは低域が締まるそうで。雰囲気に合わせて交換してほしいとのこと。

 なおパッドは使っていくうちに痩せてくるが、裏側に樹脂の層を設けて時間が経ってもボリューム感に差が出ないようにした。

 ウッド素材に金属を組み合わせた外観もプレミアムだ。最新のプレミアムカーを代表に異なる材質の組み合わせで上質感を演出したかったと話す。ウッド部に使われるアメリカンチェリーウッドはギターなどにも使われる素材。これをステンレスと組み合わせることで、先進性を出すのが狙いだという。

 ステンレスプレートにパンチされたパターンも特徴的だ。音響的には開放型なので、メタルプレートの抜けをよくするために1200個もの穴を開けたという。さらに音場感を作り出す、S−LOGIC EXの効果を視覚的に表現するために、ドライバー位置に合わせて穴の間隔が変わる演出を取り入れた。

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穴の開き方に注目

 音だけでなく、デザインにも満足できる高級感溢れる素材を選択した。ツィルケル氏は「メーカーとして、素材選びも妥協してこなかったと自負している。完成品として質の高いものを作るのが専業ブランドとしてのこだわりだ」と話した。Ultrasoneのラインアップの中でも「Signature」と「Edition」はハンドクラフトでこだわって生産している。

 イヤーカップの木材加工は、ドイツ本社近くの工房で実施している。従来のラッカーフィニッシュから、無垢の状態でワックスを重ね塗る、家具のようなつくり方にした。長年使って、経年変化による風合いの変化を楽しめるようにするためだ。

 Ultrasoneが4年ぶりに開放型に取り組んだ理由としては、開放型のヘッドフォンが市場でブームになってきていると感じたためだという。ヘッドフォンはポータブルで使うだけではない。アナログレコード再生の再燃などもあり、ゆっくりと自宅の静かな環境で音楽をゆったりと楽しむスタイルへの回帰があるという。そこに開放型のニーズがマッチするのではないかと分析した。

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 型番の15がなぜ選ばれたかについては「開放型では二桁を使うならわしになっていて、Edition 10、12に続く新製品として15を選んだ」とヴァイティンガー氏がコメント。さらにEdition 5の特徴を色濃く継承しているため下一桁が同じ15を選んだという。

 ナンバリングについては特別なルールはないそうだ。強いて言えば、Edition 8はInfinity(∞)をイメージしたそうだが、あとは密閉型は一桁、開放型は二桁にするぐらいで、フィーリングで決めているという。ただし4を選ぶことはないのではないかと話していた。

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S-Logic EXやUltra Low Emissionに対応する

 音質決めで重視しているのは、聴く音楽や想定する用途に対応できること。それに応じて音楽性の追求やプロ用途に求められる音などを考える。Edition 15の場合はスムーズでバランスがよく、開放型ならではの音の広がりを重視したそうだ。

 Ultrasoneは、26年の歴史の中でヘッドフォンに集中して開発を続けてきた独自性のあるメーカーだ。その取り組みを通じて、ブランドを確立してきたが、新しい挑戦や究極の音質に挑んでいく姿勢は変わらないとする。音楽の視聴スタイルは全世界で目まぐるしく変化しているが、新しい動きも積極的に取り入れ、製品を改善していきたいとした。

 同社は、Edition 7の開発によって、高級ヘッドフォン市場を作ったという自負を持っている。特に日本市場がそれを支えてくれたとする。感謝の気持ちがあるとする。ちなみに、Ultrasoneの工房では、品質管理でも重要な役割を果たしている日本人女性・小野寺氏が働いており、日本からの声が届きやすい理由のひとつになっているようだ。

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 ツィンケル氏は、日本のモノづくりにおける、品質やデザインに関するこだわりは賞賛しているとし、日本の声を聞き、毎日カイゼン(ここは実際にカイゼンという日本語を使った)を続けて、成長してきたのがEditionシリーズであり、日本で新製品をお披露目できて嬉しいという言葉で発表会は締めくくられた。

Ultrasone
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高級品だけあってケースもゴージャスだ