繁華街を歩いていると、いろんなものを手渡しされる。新製品のサンプル、小冊子、チラシ、ティシューペーパーなど。気づけばいろんなものを握っていることもある。

 携帯用ティシューなど買わなくてもいいくらいだ。買う習慣がなくなって、キヨスクなどで買おうとすると意外と高いことに驚く。こんな便利な国も珍しい。

 美人は手渡しへの対応がうまい。受け取りたいときは上手に手を出し受け取る。「ありがとう」と声をかけたり、小さくお辞儀したり、きちんとお礼ができる。必死で配っている人も笑顔になり、見ていて「いい関係」だと思える。受け取りたくないものに対しての断り方も上品だ。笑顔でいらないサインを出したり、「いいです」と声にして断ったり。あえて無視する人が多い中、配っている人にも気を遣う姿は見ていて美しいと思う。いい対応は「美人のもと」を増やすのではないか。

 必要なものだけを上手に受け取るので、それを大切に扱う。手渡されたティシューペーパーをバッグのどこに入れるかが決まっていて、必要な時に出せるようにスタンバイさせる。感謝の気持で受け取っているから大切にする。何かをこぼして困っている人がいると笑顔ですばやくティシューペーパーを出してくれる人はたいてい美人だ。

 小さな感謝を持たない人がいる。欲しいものは無料だと思って、「もうひとつ」とねだったり、いらないものに対して露骨に嫌な顔をしたり。配っている人への配慮など考えたこともない。そういう人は、もらったものも結局大切にしない。乱暴にバッグに放り込んだり、ポケットに入れたり。飛行機で配られる飴を「つかみどり」のようにたくさんもらって、そのままポケットを膨らます。

 そして、乱暴に手に入れたものをすぐに忘れる。欲しかったのではないのか。結局そういうものがバッグの中に増えていく。そういう人のバッグやポケットには賞味期限切れのガムやティシューペーパーも増え、どんどん丸まっていき、ボールになっていく。しかも、捨てるべきペーパーもバッグに放り込んだままで汚れボールも増えていく。

 バッグの中を見てみよう。ボールになりかけているものはないか。危険だ。そのボールは「美人のもと」を吸い取る力を持っているかもしれない。