ブレインストーミングでアイデアの量と質を高める、新たな方法が研究で示された。それは、アイデアを出し始める前に「自虐的な話」をすることである。事前に個人的な恥ずかしい話を共有することで、より創造的になれると筆者はいう。


「ブレインストーミング」という言葉の生みの親は、1960年代に米広告代理店で経営幹部を務めたアレックス・オズボーンである。

 彼は、4つのルールを遵守したチームは素晴らしいアイデアを生み出すことができると確信していた。(1)頭に浮かんだアイデアすべてを口頭で伝えあうこと、(2)他者のアイデアに便乗すること、(3)批判をしないこと、(4)そして特筆すべき点として、質より量を追求することだ。

 オズボーンの洞察が正しかったことは、後年の科学的研究によって立証されている。彼のルールに従ったグループは、従わなかったグループよりも創造性を発揮したのだ。

 たとえば、ある実験では、ブレインストーミングで量を追求する目標を与えられたグループは、質を追求する目標だけ与えられたグループに比べ、より多くのアイデア(平均29.88個)のみならず、明らかに質の高いアイデア(20.35個)も生み出した。一方、質を目標にしたグループの平均は、それぞれ14.24個と10.5個だった。

 この研究のメンバーの一員だった、テキサス大学アーリントン校教授のポール・パウルスは、企業やチームのブレインストーミングを向上させる方法が他にもあるのではないかと考えた。

 そこで、さらに4つのルールを試してみた。(1)目の前のタスクに集中する、(2)アイデアを口にするだけでなく説明する、(3)メンバーのアイデアが尽きたら、問題を再度述べ、もっと考えてみるよう促す、(4)発言していないメンバーに参加するよう促す、というものだ。その結果は目覚ましかった。量追求および上記4つのルールに従ったグループは、はるかに独自性のあるアイデアを約50個も生み出したのだ。

 私は同僚のエリザベス・ルース・ウィルソンとブライアン・ルーカスとともに、ある問いを探求することにした。それは、アイデア出しを始める「前」の段階で、潜在意識に働きかけ、より効果的なブレインストーミングを誘発することは可能か、である。