10月31日、電気自動車(EV)の販売が世界的に伸びる中、リチウムイオン電池の部材となるニッケルに対する電池メーカーの需要も急拡大している。写真手前は、リチウムイオン電池が使用されている米テスラのSUV「モデルX」。豪シドニーで5月撮影(2017年 ロイター/Jason Reed)

[シドニー/メルボルン 31日 ロイター] - 電気自動車(EV)の販売が世界的に伸びる中、リチウムイオン電池の部材となるニッケルに対する電池メーカーの需要も急拡大している。ただ、資源アナリストや専門家の予測では、恩恵を受けるニッケル生産業者は半数にとどまる。

 ニッケルはリチウム電池に使われ、長距離走行に耐える充電容量を実現する。米テスラのスポーツタイプ多目的車(SUV)「モデルX」や、ゼネラル・モーターズ(GM)の「シボレー・ボルト」に採用されている。

 しかしUBSのアナリストによると、リチウム電池市場は高品位ニッケルの生産業者にとっては新たな市場だが、世界で生産されるニッケルのうち半分を占めるフェロニッケル、ないしニッケル銑鉄はリチウム電池には適さない。

 オーストラリアのBHP、ロシアのノリリスク・ニッケル、ブラジルのヴァーレ、住友商事といった世界の大手生産業者は、その有利な立場を生かそうとして電池メーカーと長期契約を結ぶなどすばやく行動している。これらのメーカーは採掘したニッケルを電池生産に適した状態にするため、粉末状にして硫酸ニッケルにする生産設備を整えている。

 ノリリスクは6月、ドイツの電池メーカーBASFとの提携を発表。その数週間後には、BHPがニッケル部門をてこ入れし、2019年4月から電池メーカー向けに出荷を始めるとの計画を打ち出した。ニッケル部門幹部のエドアルド・ヘーゲル氏は、今後6年間で同社の年間生産量10万トンのうち、リチウム電池向けの需要が約90%を占めることになるだろう、との見通しを明らかにした。

 ヴァーレも、損失を出しているニューカレドニアの鉱山で提携相手を模索中だ。英紙フィナンシャル・タイムズによると、中国の電池メーカー、格林美と交渉中だという。

 一方でウエスタン・エリアスのダン・ラフアー氏は「皆が勝者になるとは限らない」と述べた。低品位のニッケルを生産するコロンビアのチェロ・マトソや、スイスのグレンコア傘下でニューカレドニアのコニアンボなどは敗者になる見通しだ。

前途洋々

 ロンドン金属取引所(LME)のニッケル相場は今年に入ってから現時点までに17%も上昇した。価格はトン当たり1万1725ドルと、2014年の直近高値2万1400ドル超の水準は大きく下回り、07年に付けた史上最高値の5万1000ドルに比べ75%以上も低い。それでもLMEは今週、電池用ニッケルの上場商品を新設する可能性があるとの方針を示し、EV産業の活気が市場にも影響を与えていることを裏付けた。

 ポルシェによると、高性能のEVを生産しようという動きがニッケル含有量の多い電池に対する需要を支えている。同社は、今後の自動車はEVが主流になっていくのにつれて、リチウム電池に含まれるニッケルの量はコバルトやマンガンに比べ8倍に増加すると見込む。

 UBSは、2025年までにEVの台数は1500万台を超え、ニッケルの需要も30万ー90万トン拡大すると予測している。

(James Regan、Melanie Burton、Barbara Lewis、Nicole Mordant記者)