ボルドーの5大シャトーやブルゴーニュの特級など愛好家を魅了するのはワインの味だけではない世にはワイン投資というものがあって、熱心に取り組んでいるひとがいるどうやって始めればいいか、そのノウハウをワイン雑誌副編集長が伝授する

文=鈴木文彦(「ワイン ホワット!?」副編集長) 写真協力=ベリー・ブラザーズ&ラッド
ロンドンのベリーブラザーズ&ラッド(BBR)の店舗では日常的なワインやスピリッツも買える。

 

5大シャトーとブルゴーニュ

 ボルドーはフランス・ジロンド県の県庁所在地だけれど、たぶん、世界のほとんどの場所で、ボルドーはワインと同義語だろう。ブルゴーニュもおそらく同様で、たとえば、ヴォーヌ・ロマネという、人口500人を下回る村の存在が世界的に知られているのは、ロマネ・コンティを筆頭に高価なワインのおかげにちがいない。

 ボルドーなら「ラフィット・ロートシルト」「マルゴー」「ラトゥール」「オー・ブリオン」「ムートン・ロートシルト」の5大シャトーことメドックの1級シャトーの作品、グラーヴ格付けの「ラ・ミッション・オー・ブリオン」、ソーテルヌ唯一の1級「イケム」、サンテミリオンの特級「オーゾンヌ」や「シュヴァル・ブラン」もある。

 クリマで区切るブルゴーニュは複雑だけれど、たとえば、シャブリの名声は、プルミエグランクリュ畑のシャルドネでつくる辛口の白ワインが高価格で取り引きされている事実と無縁とは誰もいえまい。なぜワインはかくも高価になるのか。

ワインが高価になる理由

 農作物であれば、相場によって値段がきまる。需要にたいして充分な供給があれば、価格は安くなり、不作であればその逆で、価格は高くなる。

 豊作の場合、作物はより高品質でおいしい可能性が高いにもかかわらず価格は安く、品質的に劣る可能性が高い不作時は価格が高い、という現象もおこる。

 であれば、品質の良い豊作時の作物を、不作で高価なときに販売すれば……と考えても、それは不可能な話。農作物は腐ってしまう。そして、この性質ゆえに、年をまたいでの食べ比べなどは不可能だ。産地、つくられた年、誰がどうつくったか、どうやって流通したかで、農作物は本来、それぞれことなるはずなのに。

 ところが、ワインは農産物で、保存がきく。だから、ごく小さな地域の、特定の年のワインを、他の地域、他の年のワインと比較することができる。

 ワインは飲んでしまえばなくなってしまうから絶対量は減り、需要が一定のレベルで存続していれば値が上がる。とくに品質がよかった年のワインは、その傾向が顕著である。たとえば、フランス産であれば、2009年とか10年のワイン。あるいは10年程度を経て飲み頃を迎えつつある05年のワインなどは、どんどん高価になってゆく。