BBRのセラーではワインメーカーを招いての食事会なども開催される。

 

ワイン好きが投資するボルドーのプリムール

 造る側からすると、ワインはすぐにはお金にならないもの。北半球のワイン造りは9月から10月にかけてブドウを収穫し、発酵させてワインにして、熟成させてボトルに詰めることで完了する。

 そこから商品として市場に出すから、収穫してほどなく現金化できる農作物と比較した場合、どんなに急いでも、半年は余分に時間がかかる。よいワインになればなるほど、熟成期間を長くしたりと、時間をかけるから、ワイン造りはお金を使うタイミングと、そのワインがお金にかわるタイミングがズレる。

 そこで、ボルドーには“プリムール”とよばれる、樽熟成中のワインを一部先行販売することでこのズレを解消する仕組みがある。

 すでに名声のある生産者のワインは、樽で熟成中の段階でも、品質と将来性は高く評価され、高額で売り買いされる。生産者の資金繰りをたすけるこの仕組みは、消費者にもメリットがある。

 未来のことは誰にも分からないとはいえ、いずれ高価になるであろうワインを、安く、また、間違いなく蔵出しのお墨付きで確保できるからだ。

 ワインの投資の話はこのへんから始まる。

 格の高いボルドーであれば10年寝かせると購入時の4倍とか5倍といった価格になりうる。世界のあたらしい富が、ワインを発見しつつある昨今、5大シャトーともなれば、プリムールでも1本8万円程度の値をつけることもある。

 プリムールでないにしても、早く買ったほうが安い、というのは理屈上はどのワインにもいえる。現実には、世の景気や為替など、外的要因が入り込み、理屈どおりにはいかないこともあるけれど、結果的に、ワインは投資対象としても長い歴史をもつ。

 では、こんにち、実際にワイン投資をしてみようと考えた場合、どうしたらいいのだろう?

【後編】を読む

鈴木文彦
パリ ソルボンヌ大学でフランス文学を専攻。研究テーマは19世紀のダンディズム。翻訳、雑誌への寄稿、編集、青果のマーケティングを経て、現在は、ワインを食や暮らしのなかに位置づけて提案する雑誌『WINE-WHAT!?』副編集長。

WINE WHAT online
https://www.wine-what.jp/