住宅ローンの選び方[2018年]
【第14回】 2017年11月9日公開(2018年1月12日更新)
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千日太郎

安倍首相の続投で住宅ローン金利はどうなる?
2018年の長期固定金利は低金利が続く!?

こんにちは、ブロガーの千日太郎です。衆院選は安倍首相の勝利続投となりましたね。そこで今回の選挙の結果を踏まえ、2017年後半から2018年にかけて住宅ローンの実行を控えている人の参考になる情報を発信していきます。特に、長期固定金利の動向を占ってみたいと思います。

緩やかな物価上昇を継続するために
日銀が実行した3つの政策とは?

 経済政策と住宅ローンの金利は、密接に結びついています。安倍首相の続投が金融市場にどう受け止められ、住宅ローンの金利にどう影響するのか? それが分かると、どの金利タイプが最適であるかが見えてくるのです。

 アベノミクスとは、安倍首相の名前とエコノミクスとをかけ合わせた造語で、「財政出動」「金融緩和」「成長戦略」という「3本の矢」で、長期のデフレを脱却し、経済成長を目指すものです。2008年のリーマンショックから始まった世界的な不景気から浮上するため、安倍内閣が繰り出した経済政策ですね。

 3本の矢のうち、住宅ローンの金利に直結する「金融緩和」を担うのが日銀の黒田総裁です。アベノミクスの理論的な柱になっているのが、経済学で「リフレ派」と呼ばれる人たちの考え方です。安倍内閣の続投が決まったということは、金融緩和政策もまた、リフレ政策が継続されるということを意味します。

 リフレ政策とは、緩やかな物価上昇を継続することで、デフレの不況を脱して経済成長を達成しようとする政策です。日銀の黒田総裁は、緩やかな物価上昇率(年に2%)の目標を定め、それを達成するまで世の中に流通するお金(マネタリーベースといいます)をどんどん増やしていく政策をとってきました。

 物価が下がり続けるデフレ不況下では、同じお金でたくさんのモノが買えます。つまり、お金の価値が高い。だったら、世の中に出回るお金の量を増やして価値を低くすれば、相対的にモノの価値(物価)が上がるはずだです。

 好景気になれば物価が上がる。ならば、物価が上がるように仕向けて好景気にしよう。という考え方です。

 世の中に出回るお金の量(マネタリーベース)を増やすための日銀の金融緩和政策は、「国債の大量買入れ」「マイナス金利政策」「イールドカーブ・コントロール政策」という3つの方法で行われてきました。

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2017年の住宅ローン金利動向はどうなる?

「国債の大量買入れ」で、デフレを脱却できず、
大量のお金が「タンス預金」になっている!

 「国債の大量買入れ」とは、民間銀行が持っている国債(国の借金)を積極的に日銀が買い取って、銀行にお金を送り込むことです。銀行がそれにより貸し出しを増やして、市中の流通量が増えれば物価上昇が期待できるというわけです。これによって物価が上昇に転じ、長く続いたデフレからは脱却できたかというと、まだ道半ばといいったところですね。

 その過程で、日銀はかなりのペースで国債を買い入れて通貨供給量(マネタリーベース)を増やしていきました。どれだけ増えているのか、ということを知る指標として「マネタリーベース対名目GDP比」というものがあります。2016年の日本のマネタリーベース対名目GDP比は80%になっていると日銀が発表しました。アメリカやユーロ圏では20%程度です。これはどういうことなのでしょうか?

 GDPというのは一年間の国内総生産です。会社で言えば売上高のようなものです。マネタリーベースは国内に流通している貨幣の量ですから、会社で言えば現金です。マネタリーベース対名目GDP比が80%というのは、つまり「1年の売上の8割くらいを現金で持ち続けている会社」ということです。

 つまり、大半のお金が金庫で眠っている。いわゆる「タンス預金」になっているということです。

住宅ローンの歴史的低金利化は、日銀の誤算だった!?
「マイナス金利政策」で国債利回りが史上初のマイナスに

 次に登場したのが、「マイナス金利政策」です。民間銀行が日銀に預けている当座預金の一部に、マイナスの金利を適用するというものです。日銀としては、民間銀行が急いで預金を引き出し、貸し出しを増やして市中の流通量が増えるという絵を描きました。でも、銀行は引き出したお金でこぞって国債を買いに走ったんですね。これによって国債の価格が高騰し、国債の利回り(長期金利)が史上初のマイナスとなりました。

 2016年に住宅ローンの金利が歴史的な低金利になった背景には、マイナス金利政策によって国債の価格が異常に高騰してしまったという日銀の誤算があるのです。

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【2017年最新版】住宅ローン金利動向を、借り換えのプロが解説!

マイナス金利による弊害と、それを打破する
「イールドカーブ・コントロール政策」とは

 そこで、日銀が追加で導入したのが、「イールドカーブ・コントロール政策」です。マイナスになってしまった長期金利を0%で安定させるために、日銀が金融市場に介入して国債の価格を操作する政策です。住宅ローンの金利が低いのは嬉しいですけど、これによって民間銀行の利益が圧迫されてしまい、投資を海外に移したり、国内では貸し渋りに振れるリスクが高まってきたからです。日本国内で流通するお金を増やしたいのに、海外投資にお金を使われ、国内で貸し渋られてしまったら本末転倒ですものね。

 あの手この手で、世の中に流通するお金を増やそうとしてきましたが、大半がタンス預金となってしまい頭打ち。それを打破しようとしたマイナス金利政策という「劇薬」によって、長期金利がマイナス金利になってしまった。その対処療法として長期金利を操作するイールドカーブ・コントロール政策が打ち出され、今に至るのです。

フラット35は「市場の長期金利」がダイレクトに影響
リフレ政策が続く限り、低金利に据え置き

 黒田総裁のイールドカーブ・コントロール政策は長期金利を0%で安定させることを目的にしていますが、0%という金利は文字通り、金利がゼロということです。

 長期固定金利の住宅ローン「フラット35」の金利は、住宅金融支援機構という国が運営する団体が債権を買い取る、または返済を保証するという形になっています。銀行は融資事務を代行して右から左に資金を流すだけですから、固定の手数料を取るだけです。そして住宅金融支援機構は国の出先機関ですから、これも固定的な経費を取るだけ。

 つまりフラット35の金利には、「投資家が買いたいと思う利率=市場の長期金利」がダイレクトに影響します。

 ですから、日銀がイールドカーブ・コントロール政策を続けている限り、固定金利とフラット35の金利については、「その時々の実態の金利よりも安い金利」=「お買い得な金利」に抑えられるでしょう。

民間銀行の超長期固定金利の動向は?
各銀行の営業戦略次第で金利の上昇も

 一方で、民間銀行の住宅ローンの長期固定金利も市場の長期金利の影響を受けます。銀行もまた、金融市場から資金を調達して我々に貸すからです。今後の長期金利が抑えられるなら、同じく連動するという予想になるのですが、そう一筋縄にもいかないのです。各銀行の営業戦略も絡んでくるんですよね。

・金利が上がりそうでも住宅ローンを獲得したい場合はあえて低めの金利設定にする(薄利多売)。
・金利が下がりそうでも自行の利益率を上昇させたい場合は高めの金利設定にする。

 なので、民間銀行の住宅ローンの金利動向というのは、必ずしも金融市場の動向と完全に一致するとは限らないというのが予想の難しさです。

 不動産経済研究所の調査によると2017年9月の東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県で発売された新築マンションの戸数は2978戸で前年同月比13%減、マンション1戸当たりの平均価格は5824万円で前年同月比4.4%増、金額にして246万円上昇したそうです。契約に至った割合は64.9%と売れ行きが好調かどうかの目安となる70%を2か月連続で下回りました。

 民間銀行としては、金利を下げたところで獲得できる住宅ローンのパイ自体が減っている状況なのですね。今後、北朝鮮情勢の緊迫化によって再び金融市場の長期金利が下がる可能性がありますが、それに連動して「民間銀行の金利が下がってくれるか?」というと少し懐疑的にならざるを得ません。むしろ、民間銀行の長期固定の住宅ローンは、上昇に転ずる可能性もありそうですね。

~まとめ~
2018年3月辺りまでは「フラット35」がおすすめだが
保険として、複数の金利タイプで審査を通しておこう

 安倍内閣は当分の間、長期金利の上昇を抑制する方向で金融緩和政策を継続するでしょう。2018年3月辺りまでに住宅ローンの実行を予定しているならば、長期金利と連動するフラット35で審査を通しておくことをおすすめします。金利面だけでなく、フラット35は団信の新制度で保障が手厚くなっています。なかでも返済額の面でメリットの大きな商品が、アルヒの「スーパーフラット」です。

 一方で、民間の長期固定の住宅ローンは、手続きをしている間に金利が上昇してしまうリスクもあるので、民間銀行の住宅ローンを検討する際は、あわせてフラット35も申し込んでおきましょう。

 ただしフラット35だけ、というのも危ないですね。長期金利は日々変動しています。特に最近表面化している北朝鮮リスクによって、一時的に大きく上がってしまう可能性もあるのです。ですから、ひとつに絞るのではなく変動金利など、金利の決まり方の異なる複数の金利タイプで審査を通しておくことをおすすめします。

 次回は「変動金利の金利動向」を考えてみますので、どうぞお楽しみに!

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(関連記事はこちら!⇒[アルヒの住宅ローンの金利・手数料は?]

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