創業期のファイナンスで
注意すべき3つのポイント

 創業者が大きな金額を調達したいときは、ベンチャーキャピタルに頼ることになる。ベンチャー企業へのファイナンスを専門にしている投資ファンドのことだ。このときに注意すべきポイントは以下の3点しかない。順に説明していこう。

(1)企業の支配権
(2)企業の評価額
(3)資金調達額

ポイント1 企業の支配権
 ご存じの方も多いように、企業の株式を保有している割合(持ち株比率)に応じて(1)企業の支配権が変化する。創業期においては、比率の微妙な差が影響することは滅多にない。大事なのは、創業者が可能なかぎり2/3か、1/2、さもなくば1/3以上の持ち株比率を確保することである。これらの比率に応じてさまざまな権利が発生するからである。

 まず、2/3(66.6%)以上の持ち株比率を確保すると、定款変更、取締役などの解任、合併など、企業を根本から変えるような重要な事項を決定できる。これを(狭義の)支配権と呼ぶ。

 次に1/2(50%)以上、つまり株式の過半数を保有していると、取締役と監査役を選任したり、役員の報酬を決めたりできる。これを経営権と呼ぶ。

 最後に1/3(33.3%)以上を保有している場合は、重要事項の決議に反対することができるため、拒否権を保有しているという。創業者は出来るかぎりこれらの権利を保持できるように、持ち株比率を減らさないことが重要である。

ポイント2 企業の評価額
 投資家から企業の価格はいくらだと評価されているのか、つまり(2)企業の評価額バリュエーション)はもっとも重要である。一度ついた評価額はなかなか覆すことができない。

ポイント3 資金調達額
 さらに、(2)企業の評価額が大きければ大きいほど、譲渡する1株あたりの金額が大きくなり、(3)資金調達額も大きくなる。