なぜ新聞やテレビはFACTAの記事を無視したのか
ジャーナリズムは反省すべきである

 ところで、正確に述べるとオリンパスの粉飾決算疑惑については、ウッドフォード氏の告発が実は最初ではなかったのである。「FACTA」という月刊誌が2011年8月号で、オリンパスの疑惑をかなり詳細に報じていた。

 それにもかかわらず、ウッドフォード発言が出るまで、新聞やテレビを初めとするわが国のジャーナリズムはずっと手を拱いていたのである(筆者の知る限り、FACTAの続報はどこのメディアにも報じられなかったのではないか)。これでは、ジャーナリズムも、オリンパスの社外取締役と同様に、経営チェックについては一切機能していなかったということと同義であると考えざるを得ない。

 民主主義社会においては、市場や企業の不正を最終的にチェックするのは、市民の役割であるが、市民の黙契を受けて、不正に目を光らせるのはジャーナリズムの非常に重要な役割である。オリンパスの件については、ジャーナリズムも真摯に反省すべきであると考えるが、どうか。