三菱自・益子修CEOが説く、企業も国も改革には「女性の力」が不可欠だPhoto by Yoshihisa Wada

三菱自動車CEOの益子修氏。不祥事により2度の経営危機に直面、そのとき経営者として何を思い、いかに会社を立て直したか。苦悩の日々と、二度と不祥事を起こさせない企業風土作りに対する想い、今後の戦略について語る。

経営危機の連続

 私の仕事人としての人生を振り返ってみれば、海外赴任中に騒乱に巻き込まれたり、不祥事への対応に奔走したことなどばかりが思い浮かぶ。

 2004年には、三菱商事から三菱自動車工業に転じて再建の一翼を担い、翌2005年には社長に就任した。再生計画が軌道に乗ってきたと一息ついたところでリーマンショックに襲われ、そこからもやっと立ち直れるかと思っていた矢先に東日本大震災とタイの大洪水に遭遇。さらに業績面でもやっと胸を張れる状態になったと社長を後進に譲った矢先に、燃費不正問題が発覚して2016年に社長に復帰した。

 2016年は、中期経営計画「ニューステージ2016」が終わり、17年からの新たな中計に弾みをつけたい年だったが、皮肉にも、その年に燃費不正問題が発覚して、それまで回復に努めてきた三菱自動車の信頼をまた失うこととなってしまった。この十数年間は、ジェットコースターに乗っているような月日だった。

 そのような中にあって、私の仕事人としての人生、また、一個人としての人生に大きな影響を与えてきたと思うのが、気丈な女性たちの姿だ。これまで他ではあまり話してこなかったことだが、この連載ではまずその話から始めたいと思う。