[宮崎市 8日 ロイター] - 日銀の布野幸利審議委員は8日、宮崎市内で会見し、日経平均株価が一時26年ぶりの高値に上昇するなど堅調な推移を続ける株式市場について、過熱状態にはないとの認識を示した。現段階で、日銀による上場投資信託(ETF)の買い入れや長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を含めた政策手段の見直しは必要ないとしたが、物価が目標の2%に達する前に変更することはあり得ると語った。

布野委員は、堅調な株価について「こうした高いレベルに至ったことは非常に好ましいことだ」とし、「特にPER(株価収益率)が低いレベルにとどまっており、過熱状態にはないと思っている」との見解を示した。

最近の株価上昇局面において日銀がETFの買い入れを見送っていることにも言及し、「日銀が買って株価を上げたということは、事実としてない」と述べ、株高の背景として世界経済の回復や投資家の動向、好調な企業業績などを「強く反映したもの」との見方を示した。

そのうえで、年間約6兆円のETF買い入れについて「現段階で変更の必要性は感じていない」と断言した。

一方、YCCを含めた「さまざまな政策ツールを、物価が2%に行くまですべて変更しないということではない」とも指摘。現段階での見直しをあらためて否定しながら、「金融政策決定会合で変更の必要性が高まったとの意見が大勢を占めれば、普通の金融政策の展開として何らかの対応はあり得る」と語った。

見直しの条件に関し、物価が1%に達したらあり得るかとの質問には「物価が1%に至ったから政策がこうなるとか、機械的な話にはならない」と述べるにとどめた。

日銀が大規模な金融緩和を推進するもとで「金融政策に限らず、さまざまな施策には効果と副作用がある。常に副作用を注視していくべき」と指摘。一部の政策委員が主張する追加金融緩和は「現時点で必要ない」と語った。

今後の物価動向に関しては、需給ギャップの改善や人手不足の強まりを背景に賃金は上昇していくとの見方を示し、消費者行動の変化も含め、賃金上昇・人手不足を踏まえた企業の価格設定行動が強まってくる、と展望した。

(伊藤純夫)