日本の失業率:
1953年以降の最高水準に広がる性別格差

 2000年代に入ってからの日本の失業率の特徴は、性別格差にある。細かい動きを排除するため、6ヵ月移動平均で男性と女性の失業率の差(=男性-女性)を計算すると、2000年代は一貫して男性の失業率が女性を上回っている(図表1参照)。

 しかも、ここ2年ほどの性別格差は0.8%ポイント前後と、失業率の集計が始まった1953年以降の最高水準にある。

「性別格差」の背景にある「業種格差」

 なぜ、ここまで性別格差が広がってしまったのだろうか。ポイントは「性別格差」そのものではなく「業種格差」にある。

 就業者が国内で減っている業種の代表例として、製造業と建設業が挙げられる。製造業は雇用主(つまり企業)の海外進出、建設業は公共事業の抑制がそれぞれ国内就業者の長期的な減少につながっている。

 一方、リーマン・ショックの最中でさえも就業者が増え続けたのが、医療・福祉。高齢化と生涯未婚率(50歳時の未婚率)の上昇が同時に進む中、医療・福祉での労働力に対する需要は強く、2006年には同分野の就業者数が初めて建設業を上回った(図表2参照)。

やはり「富士山」は日本にしかない<br />人口動態で考える、TPPなどの産業政策が持つ意義<br />――森田京平・バークレイズ・キャピタル証券 ディレクター/チーフエコノミスト