11月5日、米下院共和党が2日発表した税制改革法案には、外資系企業の米国法人が外国のグループ企業に資金を移した場合、20%の税率を課す措置が盛り込まれた。写真中央はトランプ米大統領。ワシントンで2日撮影(2017年 ロイター/Carlos Barria)

[ワシントン/ロンドン 5日 ロイター] - 米下院共和党が2日発表した税制改革法案には、外資系企業の米国法人が外国のグループ企業に資金を移した場合、20%の税率を課す措置が盛り込まれた。多国籍企業は困惑しており、世界的なサプライチェーンに支障を来す恐れもある。

 法案が成立した場合、特に米国で稼ぎ出した利益を税率の低い本国に移転して米国での税金を低く抑えてきた欧州企業が、大きな痛手を被ることになりそうだ。

 法案では、外国から商品を輸入している米国内の法人が外国の親会社や関連会社などにロイヤルティや手数料などの名目で1億ドルを超える資金を移した場合、(1)移した資金の20%を税金として支払う(2)米国事業に関連した所得として米国での課税に同意する──のいずれかを選択することになる。

 専門家によるとこの提案は、海外子会社などとの取引に関する「移転価格税制」を企業が悪用し、米国での課税を減らす慣行を標的にしている。

 ワシントンを拠点とする超党派のシンクタンク、税政策センターのシニアフェロー、スティーブン・ローゼンタール氏は「移転価格の問題は厳然としてあり、何らかの手を打つべきだ」とした上で、「資金移転への20%課税は、この問題に対処するための鈍器だと私はみている」と語り、精度が劣るため、狙った企業に課税できるとは限らないとの見方を示した。

 かつて米財務省で税務政策担当の次官補を務め、現在は会計事務所アーンスト・アンド・ヤングのコディレクターであるマイケル・マンダカ氏は、外国製品を米国内の流通子会社を通じて販売している欧州企業が最も大きな影響を受ける可能性があると話した。

 これらの企業は、二国間の租税協定が改正されない限り、米国と本国で二重課税される恐れもあるという。

 ムンダカ氏は、「欧州の当局者らは今頃、米財務省の担当者に連絡して説明を求め、協定に違反する恐れがあると主張しているに違いない」と述べた。

 また保守系シンクタンクであるタックス・ファウンデーションのエコノミスト、ギャビン・エキンズ氏は、大半の多国籍企業は米法人税としての課税を選び、資金移転への課税回避を選択すると予想した。