不動産を高値で売却する方法[2017年]
2017年11月18日公開(2017年11月20日更新)
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ザイ・オンライン編集部

大手不動産仲介会社では、「両手取引」が蔓延?!
不動産売却時は、「両手比率」が高い会社に注意を

 大手不動産仲介会社の両手取引の比率を試算したところ、驚くべきことに両手取引率が50%を超える会社が珍しくなく、両手取引が蔓延していることが判明した。日本の不動産の売買取引において、不動産仲介会社は「売り手」と「買い手」の両者から手数料を取る「両手取引」が認められているが、実は海外では問題が多いため違法とする国が多い。なぜ両手取引は問題が多いのか、また日本で両手取引が多い理由も探ってみよう。

 まず下図を見てほしい。これは大手の不動産仲介会社について、2014~2016年の3年間の「両手取引の比率」と、「手数料率」とを試算したものだ。

 大手不動産仲介会社の売買における「両手比率」を試算!
企業名 両手取引比率 手数料率
 三井不動産リアリティネットワーク 66.41% 5.39%
 東急リバブル 28.02% 4.15%
 住友不動産販売 61.57% 5.23%
 野村不動産グループ 15.35% 3.74%
 三菱UFJ不動産販売 13.31% 3.67%
 センチュリー21グループ 35.70% 4.40%
 三井住友トラスト不動産 24.57% 4.04%
 みずほ不動産販売 2.80% 3.33%
 大京グループ 44.64% 4.69%
 大成有楽不動産販売グループ 39.37% 4.52%
 住友林業ホームサービス 38.48% 4.49%
 スターツグループ 43.87% 4.66%
 近鉄不動産 52.61% 4.94%
 日本土地建物販売 14.19% 3.70%
 THR住宅流通サービス 48.79% 4.82%
 東京建物不動産販売 7.64% 3.49%
 日本住宅流通 26.16% 4.09%
 長谷工リアルエステート 15.61% 3.75%
 ポラスグループ・中央住宅 62.59% 5.27%
 小田急不動産 36.88% 4.43%
 オープンハウス 70.94% 5.54%
 ナイス 65.99% 5.38%
 朝日住宅 31.80% 4.27%
 京王不動産 35.48% 4.39%
 相鉄不動産販売 48.57% 4.81%
 京急不動産 62.37% 5.26%
※ 公益財団法人不動産流通促進センターの不動産流通データを基に作成。2014年~2016年の平均値。掲載順は取扱高順に掲載。手数料率は、手数料収入を取扱高で割ったもの。三菱地所リアルエステートサービスは、法人取引などの大型物件が多いため、手数料利率が3.24%を下回ったため掲載しなかった。一般に、法人取引などの高額な売買が含まれると、手数料率は低下する傾向がある。

 不動産売買における仲介手数料は、「成約価格の3%+6万円」(税別、売買価格が400万円以上の場合)が上限と宅地建物取引業法で定められている。だが、「両手取引率一覧」を見ればわかるとおり、実際の手数料率が4%を超える会社はざらであり、高いところでは5%台に達する。

 これは、不動産売買の手数料を、売り手からだけではなく、物件を購入した買い手側からも得ているからだ。このように、売り手と買い手の双方から手数料を得ることを「両手取引」(両手仲介とも)という。

 当然ながら平均手数料率が高い会社ほど、「両手取引比率」が高くなる。そこで、「両手取引比率」はどのくらいなのかを試算してみたところ、大手30社のうち、7社の両手比率が50%を超えていることが分かった。このように日本では、不動産売買において「両手取引」が当たり前のように行われているのが実態だ(関連記事「大手不動産が不正行為か、流出する“爆弾データ”の衝撃」)。

「両手取引」自体は法律違反ではないが、
裏で「囲い込み」している可能性がある

 両手取引自体は法律に触れるわけではなく、一概に悪いこととは言えない。不動産仲介会社には、「自分が所有するマンションや戸建て住宅を売りたい」という物件売却の情報だけでなく、「こんな中古住宅を買いたい」という購入希望者の情報も集まる。売り手と買い手の両方の情報を持っていて、それぞれの希望条件がうまくマッチングした結果、取引が成立し、それをたまたま一つの不動産会社が仲介していたというなら問題もない。

 ただ、不動産仲介会社が意図的に両手取引に持ち込むために、売り手と何の合意もないまま物件情報を隠蔽していたら、これは大問題だ。そして、残念ながら不動産業界ではそうした事例が後を絶たない。

 実際に、どうやって両手取引をしているか解説しよう。

 不動産仲介会社は、「レインズ(REINS)」と呼ばれる業者専用のデータベースを活用している。「売り手」と専任媒介契約を結んだ仲介会社は、物件情報をレインズに登録しなくてはならない。一方で、「買い手」から依頼を受けた仲介会社は、レインズに登録された情報から希望に合う物件を検索する。

 しかし、売り手側の仲介会社は、両手取引に持ち込みたいがために、レインズへの情報登録を怠ったり、登録はしても買い手側の仲介会社から問い合わせがあった場合に「その物件はすでに契約交渉に入っている」などと虚偽の回答をして紹介を断ったりするケースがある。これを「囲い込み」という。

 物件を隠す囲い込みは、売り手との媒介契約違反であり、内規によって囲い込みを禁じている会社もある。だが、実態としては、「今でも囲い込みは行われている」と多くの不動産業界関係者が証言する。両手取引となれば、手数料収入が2倍になるため、売主の利益を無視してまで、両手取引をしようとする不動産仲介会社が後を絶たないのだ。

 売り手にとっては、「囲い込み」は、大きな機会損失になる。早期に売れる機会を逃し、さらに、値下げしなくても売れたかもしれない。その金額は数百万円という損失になることもあるが、多くの売り手は自分が損をしていることを認識すらできないのが実態だ。

販売価格を値下げして手数料が減っても、
両手取引できれば、収入はほぼ倍に

 ちなみに、不動産売却の際には、成約までの時間が長引くほど、成約価格は安くなりやすい。売り出し価格で買い手がつかなければ、値段を下げざるを得ないからだ。

 仮に、ある売り手が不動産仲介会社A社と媒介契約を結び、5000万円で物件を売り出したとしよう。A社の営業担当者の報酬が手数料に応じて大きく変動するようなケースでは、売り手の物件情報を囲い込んででも両手取引に持ち込みたいと考えても不思議ではない。

 実際の手数料を計算してみよう。5000万円の売り出し価格で売れたとしても、売り手だけから手数料を得る片手取引だと、A社の手数料収入は5000万円×3%+6万円で上限156万円(税別)にしかならない。一方、この物件を4500万円に値引きして、買い手も自分で見つけて両手取引にすれば、(4500万円×3%+6万円)×2で手数料収入は282万円(税別)に跳ね上がる。

 A社にとっては、値引きしてでも「両手取引」にしたほうが、はるかに“おいしい”商売なのだ。

囲い込みが横行しているのは、
両手取引を禁止していないから

 囲い込みが横行している理由は2つある。

 理由の一つは、両手取引が法律で禁じられていないからだ。そもそも、「物件をなるべく高く売りたい」と考える売り手と、「できるだけ安く買いたい」と考える買い手の双方の代理人となることは、利益相反を生じやすい。このため、アメリカなどでは、不動産売買における両手取引を基本的に禁じている。しかし、日本では両手取引は堂々と行われている。国際的に見て日本の不動産取引の透明性が低いと指摘される大きな要因の一つだ。

 もう一つの理由は、囲み込みをしてもバレにくいからだ。国土交通省の指導もあって、売り手は、レインズに自分の物件情報が登録されているかを確認できるようになったが、問い合わせがあったかどうかまではわからない。営業担当者に、「問い合わせはない」と言われてしまえば、それまでだ。

 一方で、買い手側の仲介会社にしても、レインズに登録されて情報を見て、売り手側の不動産仲介会社に内見を申し込んでも、「その物件はすでに契約交渉に入っている」とか「もう買い手が決まってしまった」、と言われてしまえば、それ以上、強く出ることはできない。

 また最近では、売り手がレインズに登録している情報を見られるようになったため、実態としては囲い込みをしていても、レインズの画面上では「公開中」と登録するしかない。そこで新たに考えられたのが、「(公開中だけど)図面を作成中なんです」という言い訳だ。そう言われれば、引き下がるしかない。ただ、こういう言い訳をする不動産仲介会社は、「囲い込み」をしている可能性が高いと考えていいだろう。

 両手取引は法律違反ではないし、囲い込みをしてもバレにくいとすれば、手数料収入を増やしたい不動産会社や営業担当者には、囲い込みを行う強いインセンティブが働くことは容易に想像がつく。

大手と中堅中小ではどちらに頼めばいいのか?
規模ではなく、「熱心に売ってくれるか」が重要

 では、不動産を売却する際は、どんな不動産仲介会社に頼めばいいのだろうか。

 実態としては、不動産売却の際に「大手」の不動産仲介会社を選ぶ売り手が多い。ブランド力があり、購入希望者の情報が多いだろうと考えるからだ。確かに、購入希望者の情報をたくさん抱えている大手の不動産仲介会社ならば、売り手と媒介契約を結んだ後、自社で買い手も見つけやすいとも言えるだろう。

 しかし、「両手取引の比率」の表で見たとおり、大手不動産仲介会社の一部は、非常に高い両手比率となっている。もし、「囲い込み」をせずに、レインズに登録したり、客付け会社と言われる「買い手側」の不動産会社も積極的に活用して多くの買い手を見つけようとすれば、ここまで高い「両手比率」にならないのではないかという疑問も湧いてくる。

 では、中堅・中小の不動産仲介会社はどうなのだろうか。

 大手の不動産仲介会社でなくても、不動産情報サイトや折り込みチラシに物件情報を掲載するなど熱心に販売活動をしてくれれば、売り手が見つかる可能性は十分にある。 

 考えてほしい。中古住宅を買いたいと思ったら、最初にどんな行動を取るだろうか。まずは、インターネット上の「スーモ(SUUMO)」や「ライフルホームズ(LIFULL HOME’S)」などの不動産情報サイトで、住みたいエリアや間取りなどの条件を指定して物件を検索するのではないだろうか。ネットでの情報収集が当たり前の時代では、中堅・中小でも情報を拡散することは容易だ。

 また、全国的には無名でも、特定のエリアに強く、たくさんの物件情報や購入希望者の情報を持っている不動産会社もある。

 こうした点を考えると、不動産仲介会社選びは、会社の規模は問題ではなく、その不動産仲介会社、あるいは営業担当者が、売り手の立場になって熱心に販売活動をしてくれるかどうかが肝心なのである。

いい不動産仲介会社を見つけるには、
「両手取引にこだわりますか」と質問すべき

 売り手がいい不動産仲介会社を選ぶにはどうすればいいのだろうか。『プロだけが知っている!中古住宅の魅せ方・売り方』などの著書がある、価値住宅の代表取締役、高橋正典氏に聞いてみた。

 不動産仲介会社あるいは、営業担当者の姿勢を見極めるために、売り手側も積極的に質問することを高橋氏は勧める。

 「例えば、『両手取引にこだわらずに売ってもらえますか』とか、『あなたの会社は片手取引でもよしとしていますか』などと正面から質問をぶつけてみてください」(高橋氏)。

 もちろん、その質問に対する答えが本心かどうかはわからない。しかし、「少なくとも、自分は何も知らない売り手ではないということをわからせることはできますし、緊張感を持った販売活動をしてもらえるのではないかと思います」と高橋氏は語る。

 日本では両手取引が当たり前ということをよく頭に入れながら、不動産仲介会社選びを進めたいものだ。

【関連記事はこちら】
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