経営×ソーシャル
ソーシャルメディア進化論2018
2017年11月21日
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武田 隆 [クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]

知識創造は「コラボレーション」によって膨らんでいく

【野中郁次郎氏×武田隆氏 対談5】

ここ数年で、ビジネスシーンでもよく耳にするようになった「コラボレーション」という言葉。立場や専門性の異なる複数の人が共同作業を行うことで創発現象が起こり、期待以上の付加価値が生まれることを指す。では、なぜいま多くの企業がコラボレーションに着目しているのだろうか。一橋大学の野中郁次郎名誉教授は組織論的な観点から、そしてクオン代表の武田隆氏はインターネットの本質を組織づくりに組み込もうという試みを経て、それぞれの立場から「コラボレーションにおける共感の重要性」を説く。

共感に基づくコラボレーションで
「知」が膨らんでいく

野中 認知心理学者のマイケル・トマセロが書いた『ヒトはなぜ協力するのか』という本があります。トマセロはこの本の中で、人間が他の動物と本質的に違うのは、コラボレーションできるかどうかだと結論付けているんです。

野中郁次郎(のなか・いくじろう)
1935年(昭和10年)、東京に生まれる。早稲田大学政治経済学部卒業。富士電機製造株式会社勤務ののち、カリフォルニア大学経営大学院(バークレー校)にてPh.D.取得。南山大学経営学部教授、防衛大学校社会科学教室教授、北陸先端科学技術大学院大学教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授などを歴任。一橋大学名誉教授。著書に『組織と市場』(千倉書房、1974年。増補新装版、2014年)、『失敗の本質』(共著、ダイヤモンド社、1984年。中公文庫、1991年)、『知識創造の経営』(日本経済新聞社、1990年)、『アメリカ海兵隊』(中公新書、1995年)、『知識創造経営のプリンシプル』(共著、東洋経済新報社、2012年)、『戦略論の名著』(編著、中公新書、2013年)、『実践 ソーシャルイノベーション』(共著、千倉書房、2014年)、『全員経営』(共著、日本経済新聞社、2015年)、『知的機動力の本質』(中央公論社、2017年)、『日本の企業家 7 本田宗一郎 夢を追い続けた知的バーバリアン』(PHP経営叢書、2017年)などがある

 チームを組む、すなわちコーポレートすることは、チンパンジーでもやるんですよ。そのほうが餌を採りやすいですから。でも、ひとたび採ったら我先にと餌を食べようとする。つまり、コーポレートはできてもコラボレーションはできないんですよ。

武田 その違いは大きいですね。私どもは“カンパーニャ”(編集部注:カンパニーの語源で、「なけなしのパンを分け合う」の意)から始まった組織ですから、コラボレーションの大切さを身にしみて経験してきました。

 人間1人ひとりは弱い存在でも、もし「こいつは裏切らない」と心の底から信頼できる仲間がいれば、互いに背中を合わせて戦うことができるため、そのぶん戦力も高まります。しかしコラボレーションができないとなると、メンバーに背中を預けるなんて、とてもではありませんが怖くてできませんね。

 前回も少し触れさせていただいたように、私どもは「真にインターネット的な組織」を目指して組織づくりをしてきました。インターネットの本質はコラボレーションにあると考えているので、とにかくあらゆるシーンで共創し、創発を促すことを非常に大切にしてきました(コラボレーションと創発の意味合いについては、本連載の國領二郎氏との対談を参照)。

 当社には「コラボレーション20%ルール」というものがあります。全業務のうち2割はコラボレーションのためのディスカッションにあてるというルールでして、業務が忙しかろうと事業計画が苦しくなろうと、このコラボレーション20%ルールだけは死守してきました。



武田 隆(たけだ・たかし) [クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]

日本大学芸術学部在学中の1996年、前身となるエイベック研究所を創業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「消費者コミュニティ」の理論と手法を開発し、複数の特許を取得。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。これまでに森永乳業、ライオン、資生堂ジャパンをはじめ、300社超のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア(矢野経済研究所調べ)。2015年、ベルリンと大阪に支局を開設。著書『ソーシャルメディア進化論』は松岡正剛の日本最大級の書評サイト「千夜千冊」にも取り上げられ、ロングセラーに。また、CSR活動の一環としてJFN(FM)系列ラジオ番組「企業の遺伝子」のパーソナリティも務める。1974年生まれ。海浜幕張出身。


ソーシャルメディア進化論2018

花王、ベネッセ、カゴメ、レナウン、ユーキャンはじめ約300社の支援実績を誇るソーシャルメディア・マーケティングの第一人者、クオンの代表取締役 武田隆氏が、ダイナミックに進化し続けるソーシャルメディアの現在と未来に独自の視点から迫る!

「ソーシャルメディア進化論2018」

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