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吉田恒のデータが語る為替の法則

「恐怖指数」は重大な分岐点に!
危機相場回避のカギはECBと「緊急G20」か

吉田 恒
【第167回】 2011年11月21日
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 昨年から3度目となる本格的なリスク回避相場に向かうか、重大な岐路に立っていると思います。私は、それを防ぐ手もなくはないと思っています。これからこの点について述べます。果たしてどうでしょうか。

欧州債務危機再燃! 循環的リスク回帰は終わったか?

 欧州債務危機は、10月末でいったん収まりかけたものの、11月に入ってから再燃しています。

 「資料1」は、欧州全体の信用を示す欧州CDS指数です。

 これを見ると、欧州への信用悪化は、10月初めで一巡し、いったん改善に転じたものの、10月末からふたたび悪化に転じた形になっています。

 ところで、10月初めで、欧州への信用悪化が一巡し、改善したのは何がきっかけだったでしょうか。

 10月初めのECB(欧州中央銀行)理事会で、利下げへの転換が示唆されました。

 「資料1」でわかるとおり、そもそも、ECBによる利上げから、欧州信用悪化が拡大に向かったとも言えるので、そんなECBが利下げに転換する見通しとなったことで、欧州への信用悪化が改善に転じたのは納得のいくところではあります。

資料1

 そしてもう一つは、米国株の底打ち、反発への転換だったのではないでしょうか。

 「資料2」は、NYダウとユーロ/米ドル相場のグラフを重ねたものです。この「資料2」をみると、NYダウが10月初めに底を打ち、反発に転じており、それと連動するように、ユーロ/米ドル相場も底を打ち、反発に転じたのがわかります。

資料2

 先に述べたように、ECBの利下げへの転換見通しをきっかけに、欧州への信用が改善に転じ、これにより米国株も上昇に転じたのか、それともこの10月に入る頃から米景気不安が後退してきたので、それを受けた米国株の上昇で、欧州危機への懸念も一服となったのか、どちらなのかはよくわかりません。

 ただ言えることは、構造的には欧州債務問題は何ら変わらない中でも、ECBの金融政策の転換や、米景気不安の後退といった循環的な要因の転換によって、いったんはユーロ高、株高といったリスクへの回帰へ向かっていたわけです。

 そもそも欧州債務危機という構造問題が表面化したのは2010年春でした。それは根本的に解決したわけでなくても、いったんユーロ/米ドルは1.5ドル近くまで反発しました。

 これでわかるとおり、構造問題の解決とは関係なく、循環的にユーロ/米ドルは1.4ドル程度まで上がったり、逆に1.2ドルへ下がったりするものなのです。

ユーロ/米ドル 月足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 月足

 その意味で私が注目しているのは、10月から続いてきた循環的なリスクへの回帰といった展開が、もう終わってしまったのかということです。

「恐怖指数」は低水準! 歯止めへの重大な分岐点か?

 11月16日(水)に発表されたイニシャル・クレーム(新規失業保険申請件数)は、米景気指標の中でも代表的な先行指標の一つですが、これが、予想より良い結果になるなど、米景気指標は改善しており、景気回復期待は続いています。

 ところが、16日のNYダウは大幅下落となりました。

 確かに、「資料2」を見ると、欧州債務危機への懸念からユーロ安となり、それが米国株も再び下落に向かわせているように見えます。せっかくの景気回復期待の腰を、欧州債務危機が折ってしまい、リスク回避を本格的に再燃させてしまうのでしょうか?

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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