[シカゴ 7日 ロイター] - メーシーズ<M.N>やJCペニー<JCP.N>など米百貨店は、例年は9カ月ないし1年も前から年末商戦に向けた在庫の確保に動いている。しかし今年は在庫の経費を抑えるとともに、大量の売れ残りを値引きして利益を損なった昨年の二の舞を踏まないよう、仕入れる商品を慎重に品定めし、納入業者への発注時期を遅らせている。

企業幹部や納入業者、コンサルタントなどによると、百貨店はこの時期になっても新たに注文を入れている。また、注文1件当たりの数量が少なく抑えられ、発注から納品までの期間も短縮化が求められているという。百貨店側は従来より機敏に需要を予測する手順に依存するようになった。

関係筋によると、在庫水準の引き下げは管理コストの抑制に役立つほか、消費者に値引きを待つのではなく、すぐに買おうという気持ちを起こさせる効果がある。一方、品ぞろえが薄くなって客離れが起きたり、納入時期の面で業者にプレッシャーが掛かるというリスクもある。

米百貨店はへネス・アンド・マウリッツ(H&M)<HMb.ST>やザラといったファストファッション企業をお手本に、こうしたハイリスクの戦略を採っている。

冬物衣料を探すためシカゴにあるメーシーズのステート・ストリート店を訪れたダコタ・ホイットローさん(46歳)は「今年はカシミアのセーターなどいくつかのセクションで全体的に選択の幅が限られています。ただ、商品があまりにも大量にあると買い物は厄介なので、選択肢が狭いことには良い面も多いのです」と話した。

百貨店が今年、納入業者にまとまった量の注文を入れ始めたのは年末商戦から3─4カ月前になってからで、売れ筋商品では6─8週間前に迫っていた。

ロード・アンド・テイラーやディラーズ<DDS.N>にブランド物アパレル商品を収めているエクセル・ブランズのロバート・ドローレン会長兼最高経営責任者(CEO)は「今年は多くの百貨店からリードタイム(発注から納入までの期間)の短縮と厳しい在庫管理を求められている」と述べた。

百貨店にとってのリスクは、供給業者が仕入れ方法の変更についてこられるかどうかだ。百貨店が頼みとする納入業者のサプライチェーンは旧態依然としており、複数のブランドを扱っているため急激な変化には対応していない。この点は週単位での仕入れに対応するファストファッションとはサプライチェーンの体制が異なる。

このため、これまで百貨店との付き合いが長かった小規模の納入業者の中にはリードタイム短縮の要求に応えるのが難しいところもある。JPペニーやコールズ<KSS.N>に商品を収めているバングラデシュの供給業者は「ぎりぎりになってからの注文は断っている」と話した。

百貨店は、今年は一部の発注を諦めてでも在庫管理を徹底している。コンサルタント会社ATカーニーのグレッグ・ポーテル氏は「百貨店は売上高を失うリスクと利幅を失うリスクを天秤に掛け、今年は売上高が減ってもよいという経営方針を選んでいる」と述べた。

もっとも、全米小売業協会(NRF)は先月、米国の消費者は税制や通商などの政策変更を巡って先行きがはっきりするまで消費を手控えるとの見通しを示しており、この経営戦略ではマイナスの影響を吸収しきれない。NRFが示した今年の年末商戦の売上高伸び率予想は3.7─4.2%。昨年の実績は3.75%だった。

コンサルタント会社マクミランのパートナー、ニール・スターン氏は「小売り各社は過剰在庫を抱えたくないだけだ。(過剰在庫を抱えると)運転資金が増えるので、景気が良いときには問題なかったが、市況が厳しい局面ではそうはいかない」と話した。

(Nandita Bose記者)