例えばスポーツ選手が、オリンピックという場で力を発揮できるのは、国を代表している責任というプレッシャーと、4年に1度しかないチャンスというプレッシャーがあるからではないだろうか。

 とはいえ、数字は大きなプレッシャーにもなる。

 事実、私は経営者だから、常に数字が非常に気になる。売上、利益、財務内容など、目指す指標はたくさんある。それらの数字を目標にしているが、実は私が最も大きく意識しているのは、ご先祖さまである。ご先祖さまに「恥じない仕事」をしていれば、数字は後から必ずついてくると思っている。

「前年対比」といった目先の売り上げにこだわりすぎると、ついつい無理をしてしまう。安易に結果を求める「弱い自分」が現れてくるのである。それを戒めてくれるのが、「ご先祖さまに対して、恥ずかしくないか」という戒めにも似た物差しである。

 数字達成のために無理なことをしてしまう。顧客のところへ行って、頼み込んで希望していない商品を買ってもらったことがある、そんな営業マンもいるのではないだろうか。

 経営者でいえば、粉飾決算など、その最たるものである。最近の有名企業の品質偽装なども、数字達成のために無理をしてしまった一例だろう。

 こうした誘惑に駆られたときには、オフィスの神棚や、家庭の仏壇の前で手を合わせたときの気持ちを思い出すといい。「こんなことをしたら、ご先祖さまに申し訳が立たない」。きっと、そう思えるはずである。

 超越した存在を意識することで、適度な緊張感を与えてもらえるため、「日々の業務をまっすぐに行う」ための助けとなる。これも、オフィスの神棚の効能だと思う。