基礎代謝が800キロカロリーしかなければ、1日の食事を1200キロカロリーの低カロリーにおさえても、なかなかやせないことは理解できますよね。

 基礎代謝が低い人には「倹約遺伝子」の持ち主が多いようです。米国のピマインディアンから基礎代謝を低くする遺伝子が見つかっており、それが「倹約遺伝子」と呼ばれています。

 食糧事情がきびしかった時代には、基礎代謝が低いほうが少ないカロリーで生きられるので、効率的だったわけです。ところが、飽食の時代になるとその体質がマイナスに働き、ピマインディアンの間では肥満の増加が深刻な問題になっています。

 こうした倹約遺伝子の持ち主の場合、女性で1日1200キロカロリーの糖質制限食でもやせにくいことがあり、「糖質制限食+カロリー制限食(1000キロカロリー)」が必要となります。

 日本人にはこの倹約遺伝子の持ち主が数パーセントおられると思います。女性なら1日1000~1200キロカロリー、男性なら1400~1600キロカロリーが1つの目安です。

 さらに、数パーセントほど大食タイプの人がおられます。無糖ヨーグルト500g入りを1日2~3個食べても平気とか、ステーキ400gなんて楽勝とか、タマネギ中玉(200g)2個くらいなら炒めたら簡単とか……。

 こういう大食漢の方々には、カロリー制限までしなくても、普通のカロリーを心がけることが大切です。女性なら1日1200~1600キロカロリー、男性なら1600~2000キロカロリーが1つの目安と説明しています。

面倒な計算がいらないのも
糖質制限食の特長

 糖質制限食に面倒な計算はいりません。糖尿人の場合は、食後高血糖を防ぐために1回の食事の糖質量を20g以下におさえる必要がありますが、それ以外の方々はいちいち糖質量を計算しなくてよいのです。

 一番大切なのは、糖質が多い食品をあらかじめ把握しておき、そうした食品を避けるようにすることです。

 米飯やパンなどの主食系は糖質が多いとすぐにわかりますが、野菜でもカボチャやニンジンなど糖質の多いものがあるので要注意です。海藻類では、昆布だけは100g中に30gくらいの糖質が含まれているのでNGです。しかし昆布だしは大丈夫です。

 牛乳は100ccあたり5gの糖質で、厚生労働省の低糖質食品に相当するのですが、ガブガブと200~300ccくらい平気で飲む人がいるので要注意です。料理に牛乳を100cc使用して4人家族で一緒に食べたり、コーヒーに牛乳を10cc入れたりくらいなら、問題ありません。