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企業のIT投資意欲が急上昇
キーワードは「デジタライゼーション」

――ITR「IT投資動向調査2018」の結果を見る

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第74回】 2017年11月17日
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新規取組みの推進組織はどこか

 今回の調査では、昨今課題となっている7つのテーマについて、推進役を担うべき部門・組織を問うている。その結果、いずれのテーマでも既存のIT担当部門が推進役を担うべきだとする割合が最も多く、特に「クラウドサービスの導入・利用拡大」と「サイバーセキュリティ被害への対応」においては、50%を上回る高い割合を占めることが明らかとなった(図4)

 ただし、AI(人工知能)やIoTの導入、デジタルビジネスや働き方改革といったテーマにおいては、既存のIT部門が中心的な役割を担うべきとした割合が半数を下回っており、相対的にIT部門の関与度が低くなることが予想される。特に、デジタルビジネスや働き方改革は、新規で立ち上げる専任組織の割合が相対的に高い傾向にある。

出典:ITR「IT投資動向調査2018」

 クラウドサービスやサイバーセキュリティは、IT基盤やシステム運用に深く関係しており、従来からIT部門が主体的な役割を担ってきた分野といえる。それに対して、AIやIoTなどの新規技術の適用領域は、まさにビジネスの最前線といえる場面であることが多い。IT部門は、今後こうしたビジネスITの分野で存在感を示すことができるかが問われることとなるだろう。

 ここで、図4に示した7つのテーマに対する回答者数に着目してもらいたい。全有効回答数が2554件であるのに対して、すべての項目が1400以上の回答となっており、半数以上の企業がこれらについて何らかの取組みを開始していることを表している。こうした新規の取組みにおいて専門組織を立ち上げるケースも増加しており、国内企業の多くがデジタライゼーションへ舵を切ったといえる。

 企業は、こうしたデジタライゼーションの潮流に押し流されることなく、自社の適用領域と活用シーンを的確に見極め、投資の枠組みや組織体制を整備していくことが望まれる。

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内山悟志
[ITR会長/エグゼクティブ・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。2019年2月より現職。


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日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

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