米ベンチャー投資会社における女性経営者の割合はきわめて低く、女性の起業家や経営者への資金提供も男性より少ない。筆者らは、この男女格差が、投資パフォーマンスに悪影響を及ぼしているという。


 米国のベンチャー・キャピタル(VC)業界で女性の共同経営者がいる企業の割合は、わずか8%である。そして、この偏った性別構成は、VCの投資パフォーマンスに悪影響をもたらしていると思われる。

 経営陣に女性がいないVCは、女性が創業者または経営トップである企業に投資する傾向が低いことが、証拠によって示されている。しかし、VC界の多くは認識していないようだが、女性経営企業は平均的に、男性経営企業よりも、ベンチャー投資に対する収益率が高いと思われるのだ。

 たとえば、投資会社ファーストラウンド・キャピタルは、全米平均よりも多く女性起業家に出資して成功したと、大々的に発表している。同社の出資先に関する報告によれば、女性創業者がいる企業はそうでない企業に比べ、投資家への価値創出において63%上回っていたという。

 スモール・ビジネス・アソシエーションが実施した調査でも、女性経営企業に投資したVCは、投資しなかったVCよりもプラスの業績を上げたと結論づけている。

 女性経営者率が高い、ごく少数のVCによる投資実績のなかには、女性起業家の成功事例としてよく知られているものがある。

 一例として、VCのパーキンズ・ファンドは、ゴールディ・ブロックスのような傑出した企業を世に送り出した。女性エンジニアが創設した、この玩具会社は(女の子にエンジニアリングを好きになってもらうための玩具を開発)、少女らを主役とした広告で世間の耳目を集めた(動画)。ちなみにパーキンズ・ファンドは、ワンメインストリーム(クラウドベースの動画サービス。2015年にシスコが買収)のような、性別に関係なく成功した企業にも数多く投資している。

 同様に、女性が創設したアスペクト・ベンチャーズは、収益性の高いウェブサイトの立ち上げを後押ししてきた。たとえば、The Muse(求職)、Trulia(不動産)、Urban Sitter(ベビーシッター仲介)などだ。