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東証大証の統合の次なる構想は
東工取を加えた“総合”取引所

週刊ダイヤモンド編集部
2011年11月24日
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世界的な証券取引所の再編の波や、欧州債務危機に後押しされて統合に踏み切る東京証券取引所(右)と大阪証券取引所(左)
Photo:JIJI

 東京証券取引所と大阪証券取引所の統合が大詰めを迎えている。3月に統合話が浮上して以降、統合比率やトップ人事について協議を重ねてきた両社は、11月22日に正式に発表する見込みだ。

 統合スキームは、東証が50.1~66.6%のあいだでTOB(株式公開買い付け)を実施し、大証株の過半数を取得する。その後、上場会社である大証を存続会社とした逆さ合併により両社を統合する。東証が未上場のため懸案となっていた統合比率は、大証の時価総額(約1000億円)を1とした場合の東証の株式価値の評価を1.5~2.0の範囲とする。

 統合新会社の最高経営責任者(CEO)には東証の斉藤惇社長が、最高執行責任者(COO)には大証の米田道生社長がそれぞれ就任する。そして新会社の下にはまず東証と大証がぶら下がり、その後に、現物株とデリバティブ(金融派生商品)、決済、自主規制の4子会社に再編することになる。

 新会社の社名は「日本取引所グループ」。実際の統合時期は、公正取引委員会の審査が少なくとも半年以上かかることから、2013年初頭になるもようだ。

 もっとも今回の統合は、完成形ではない。ある幹部は、「近いうちに、金やゴムといったコモディティ商品など商品先物を取り扱う東京工業品取引所(東工取)を取り込み、日本“総合”取引所にしたい」と次の構想を明かす。つまり、現物株取引に強い東証とデリバティブに強い大証の組み合わせだけでなく、商品先物に強い東工取を加えることで取扱商品の幅を広げ、ワンストップサービスを提供することで取引量の拡大を狙っているのだ。

 東工取にしても、販売規制の強化の影響でいまや出来高はピーク時(03年)の3分の1にまで落ち込んでしまっている。また、来年春には次期システムの準備を始めるタイミングが迫っていることもあり、東証と大証の統合に強い関心を寄せている。

 だが、この構想には障壁がある。最大の障壁は監督官庁だ。東証と大証の監督官庁は金融庁だが、東工取のそれは経済産業省。振り返れば今年7月、東工取と東京穀物商品取引所の市場統合が突如破談となった。「東穀取の監督官庁の農林水産省が横ヤリを入れた」(取引所関係者)ためだ。そこには「公的な色彩が強い証券取引所は格好の官僚の天下り先」(同)という側面が強い。複数の役所が絡むだけに一筋縄ではいきそうにない。

 世界の証券取引所の再編は加速し続けている。「日本は世界の2周遅れ。東工取が加わってようやく世界の最低ライン」(前出の幹部)でしかないのだ。いち早く統合を進めてコストを下げ、市場関係者を呼び込めるような魅力ある証券取引所にならねばならない。ただ統合しただけでは意味がない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 藤田章夫)

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