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金融市場異論百出

中国の土地バブル懸念以上に
先行き深刻な「中所得の罠」

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2011年11月23日
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 内モンゴル自治区に出張に行ったという上海人のビジネスマンから興味深い話を聞いた。彼が降り立った飛行場は驚くほど巨大で、大勢の乗降客でごった返していた。早足で歩く人びとの目は、皆、鷹のように鋭く、ビジネスチャンスを求めて恐ろしいほどギラギラしていたという。もっとも、そう語る彼の眼光は、日本人からすると十分にアグレッシブなのだが。

 日本では中国の最近の住宅市場の調整をとらえて、「ついに中国バブル崩壊か?」というニュアンスの報道がよく見られる。確かに、労働年齢人口が2015年にピークアウトすることからも、2ケタ高成長の時代は終わったといえる。また、不動産市況の低迷は来年も続くと予想される。多くの不動産会社が資金繰り破綻を起こすだろう。しかし、この調整は、住宅価格高騰抑制のために、金融引き締め、投資規制によって当局が意図したものだ。システミックリスクにつながりそうになったら、当局は急速に緩和に転じるだろう。

 冒頭で述べたような内陸部の発展の力もあるため、国内要因を起点に近々大クラッシュが来ると予想する声は、悲観的な中国人エコノミストからもまだ聞こえてこない。10月の中国の自動車販売台数は、BMWは前年同月比33.5%増、アウディは61.7%増だ。アウディは日本の15倍も売れた。世界2位のラグジュアリーブランドグループ、リシュモン(カルティエ、モンブランなど)も、10月までのアジア・太平洋地区の売り上げは同48%増である。不動産関連業種の業況が悪化すれば、中国の贅沢品市場の一時的失速は避けられないはずなのだが、まだしぶとく持ちこたえている。不動産以外の業種の人びとが今は需要を支えているようなのだ。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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