【人としての生き方について】

怪物マイク・タイソンを生み出したカリスマトレーナーの数々の名言ダマトと彼のパートナーであるカミールとの夕食風景。タイソンは彼らにとって家族以上の存在になっていた (Photo:(c)Ken Regan/Camera 5)

「誰が何を言おうと、どんな言い訳や弁解をしようと、最終的にやった行為が、その人間が望んでいたことだ」 (『真相』64ページより)

「人は生きたいと思わなくなったらその瞬間に死んでしまうからな。自然は俺たちが思っているより賢い。俺たちは大切な友人を少しずつ失い、少しずつ興味を失い、最後に、“いったい俺はこんなところで何をやっているんだ? これ以上生きていてもしかたがない”と思うようになる」 (『真相』111ページより)

【ボクシングという競技について】

「プロボクシングはエンターテインメントなんだ。成功するには試合に勝つだけでなく、観る人がわくわくするような勝ち方をしなければならない。悪意を持ってパンチを叩き込め」 (『真相』71ページより)

「一年間王者でいるのは一生無名でいるよりはるかに価値がある」 (『真相』73ページより)

【独特の指導法】

「指導にかかる前に、どんな人間かわかるまで徹底的に話をする。今日の俺たちは過去の行動と振る舞いが積み重なってできている。マイクの場合、本人から話を聞いて、こいつの中にどんなつらい体験や被ってきた不利益が蓄積されているか、そのせいで積み重なったかさぶたを何枚剥いでやらなくてはいけないかを徹底的に見極める。本当のこいつにたどり着けるまで。俺だけでなくこいつにも見えるように、それをさらけ出してやる。そこから飛躍的な進歩が始まるんだ」 (『真相』110ページより)

「しかるべきときが来るまで待たなくちゃいけない。泥の中のワニのように。いつ旱魃(かんばつ)が起きて、動物たちがサハラ砂漠を横切らなくてはならなくなるかはわからない。しかし、待つんだ。何ヵ月でも、何年でも。そのときはかならず来る。ガゼルやヌーが川を渡る。やつらが来たら、咬みつく。わかるか? やつらに咬みついて、やつらが叫び声をあげたときには、世界中がその声を耳にするだろう」 (『真相』89~90ページより)

タイソンはダマトの教えを忠実に実行し、ボクサーとしての階段を上り詰めていく。このコンビのかがやかしい未来に立ちはだかるものはないように見えた。しかし二人の関係は未来永劫続くものではなかった。次回はタイソンとダマトに訪れた悲劇について紹介しよう。

(つづく)