雪男「イエティ」は実在したのか。近年、イエティのDNAが現代人のゲノムに残っていたとも言える報告がなされているという (※写真はイメージ)

『戦国武将を診る』などの著書をもつ日本大学医学部・早川智教授は、歴史上の偉人たちがどのような病気を抱え、それによってどのように歴史が形づくられたことについて、独自の視点で分析。医療誌「メディカル朝日」で連載していた「歴史上の人物を診る」から、イエティ(雪男)の存在について解説する。

イエティ (生没年不詳)

 筆者の勤務先の山岳部は猛者ぞろいである。槍穂高もままならぬ筆者にとって、ヒマラヤ遠征の話など本当に羨ましい限り。話に聞く大氷河やモレーンに太古の昔から残る高山植物、高山蝶など見てみたいものがたくさんある。中でも興味のあるのは雪男(イエティ)である。

■毛むくじゃらの巨人

 イエティとは、シェルパ族の言葉で岩を意味する“Yah”と動物を意味する“Teh”が語源とされる。古くからその存在が伝えられてきたが、19世紀英国の探検隊が巨大な足跡を報告し、多くの目撃情報が寄せられるようになった。共通点は毛むくじゃらで巨体だが素早い行動を取ることで、僧院や猟師の家に頭皮、遺骨が伝えられる。現生人類との競争に敗れた猿人の生き残りではないかと期待されたが、DNA鑑定ではいずれもヒグマやカモシカのものだった。しかし、近年イエティのDNAが現代人のゲノムに残っていたとも言える報告がなされている。