本気でこの国を根本から立て直す、
ほんとの意味で立て直す。繋がり方を改める

12月10日。なぜ僕たちは、<br />「原発」住民投票の請求代表者になるのか。<br />山本太郎×今井一 対談今井 一(いまい はじめ) 1954年生まれ。ジャーナリスト。市民グループ[みんなで決めよう「原発」国民投票]事務局長。 ポーランドにおいて独立自治労組「連帯」が誕生した81年以降、ソ連・東欧の現地取材を重ね、民主化の進行とソ連を盟主とした社会主義共同体の崩壊を見届ける。 96年からは、新潟県巻町、刈羽村、岐阜県御嵩町、名護市、徳島市、米原町、岩国市など各地で実施された住民投票を精力的に取材する。 また、04、05年には、スイス、フランス、オランダへ赴き、国民投票の実施実態を調査。 著書は、『「原発」国民投票』(集英社)ほか多数

今井:3.11から8ヵ月が過ぎましたが、政治や行政は相変わらずの体たらくだし、一時相当数の人が原発について高い関心を抱いていたのに、最近では急速にしぼみ、特に関西圏で原発について関心を抱き続けている人は少数になっています。そんな中で、「原発について考えよう」「子どもたちを放射能から守ろう」と訴えて駆け回る自分の心が折れたり揺れたりすることはなかったですか? 

山本:やっぱり一人じゃ無理ですよね。行くところ行くところに、人生と本気で向き合っている人たちとの出会いがあるじゃないですか。で、みんな真剣なんですよね。今まで自分自身が人生というものにどう向き合ってきたか。はっきりしたのが3.11です。3.11以降、生き方が変わった、考え方が変わったっていうことで、前を向いて歩き出した。でもやっぱり世間との温度差はあるっていうのはある。それはそうなんだけども、行く先々で本気で闘ってる人たちの姿を見ると、自分の気持ちが「折れかけてた」ということも反省させられますよね。何を考えてるんだ、やっぱり燃えてなきゃダメなんだっていう出会いの連続です。だから毎日感動してます。

 とはいえ、僕も3.11以降失ったものはあります。それは収入なんですけれども…

今井:(笑)出た―!

山本:出たでしょ、「収入激減話」。だけどそれを大きく上回る財産みたいなものを、手に入れてる感じがします。

今井:そうね。お金は大事だけど、偽りのない人生、掛け替えのない仲間こそ大切。この歳になると本心そう思います。

 さて、14万人のフォロワーを擁する太郎さんのツイートを見てたら「繋がれてよかったです」という言葉がよく出てくるんですけど、「繋がる」っていい言葉やね。スクラムを組むっていうとちょっと大げさになるけれど、繋がるっていうのはなんか自然でいい。

山本: 3.11の原発事故で福島の人たちをはじめとしてみんな辛い体験をしてます。ほんとに残念で悔しいです。そんな嫌なことばかりの中で「救い」にしたいのは、これまで多くの福島の方々と道ですれ違うことさえなかった僕が、3.11以降頻繁に現地へ行って、そこでみんなと集まって、一気に人間の一番深いところで繋がり合ってます。これはすごいことですよ。いろんな人との出会いでそういうエネルギーを感じるときに、リセットというかリスタートできる、自信にかわっていきますよね。

今井:確かにわれわれは、精神的にも物質的にも大変な「負」を背負うことになったけれど、これをプラスに転ずる努力をしないと。3.11によって、この国の行政や立法、官僚、メディアの在りようがあぶり出されました。そのひどさを目の当たりにした私たち日本人は、本気でこの国を根本から立て直すきっかけにしないといけない。悲劇に覆われながらもこの機会を生かさないとね。