大手新聞グループ・会長と関連企業であるプロ野球球団・代表の大喧嘩が話題になっています。その原因の1つとして挙げられるのが、「経営方針の一貫性のなさ」です(今回の場合、大きな問題は「強引さ」なのでしょうが…)。

 言うことがコロコロ変わる上司は部下から信頼されない、という話をよく耳にします。確かに『転職を決意する要因』を調査すると、上位に「一貫性のないマネジメント」が登場しますから、決して間違いではないでしょう。

 では、そんな一貫性のなさが経営方針にまで至っていたら、どうでしょうか?現場の社員たちは、大いに混乱してしまうはず…。また、スピード感をもった意思決定が経営に求められる時代ですから、その方針の変更がすぐに現場に伝えられなければ、意味がありません。

 そこで今回は、「経営方針がコロコロ変わる」職場に転職してしまったDさんの苦悩をテーマに、話を進めていきたいと思います。

毎週、社員へ送られる「社長からのメッセージ」
風通しの良さを感じて転職するも…

「簡単に発言を撤回するなよ。ついていけないよ!」

 そう心の底から叫んでいたのは食品関連商社のM商事に勤務するDさん(32歳)。この会社に中途採用で入社して2年目になりますが、経営方針がコロコロ変わることに対して大きな不満を募らせていました。

 ちなみに、M商事は設立80年の老舗。株式公開はしていないものの、独立系として生き残ってきた企業。社長は叩き上げの営業マンで55歳。社長方針や日常の想いをメールで社員に伝えることで、組織の一体感を狙っているようなのですが…。

 そんなDさんが転職してM商事に入社した経緯は、職場の風通しの良さを感じたから。

「前の会社では、会社の方針がほとんど示されていませんでした。そこで、会社に対して徐々に不信感が募り、転職を決意しました」

 前職は電子部品のメーカーの営業でした。ですが、社長に会ったのは入社式だけ。会社の方針を聞く機会など、全くありませんでした。

 そこで上司に、

「この会社は何を目指しているのですか?」

 と、聞いたところ、

「そんなことは考えなくてもいい。ただ、言われたことだけやっていればいいのだ」

 との答えが返ってきました。