安倍政権は“生産性革命”の具体策の検討を急いでいるが、名前が示す方向性こそ正しいものの、中身は伴っておらず、空疎なものになりつつある。課題はどこにあるのか(写真はイメージです)

政府が唱える生産性革命の空虚
海外投資家からは厳しい評価

 安倍政権は“生産性革命”の具体策の検討を急いでいますが、新聞などで報道されるその内容を見る限り、残念ながら名前が示す方向性こそ正しいものの、中身はまったく伴っておらず、かなり空疎なものになりつつあるように見受けられます。
 
 そうした厳しい評価をしているのは私だけではありません。私は先週、ニューヨークでいくつかのヘッジファンドと意見交換しましたが、日本の事情に詳しいファンドの連中ほど、現在検討されている“生産性革命”の内容について厳しい評価をしていました。

 その最大の理由は、日本経済の生産性の向上のためには、生産性が低いままとなっているセクターにおいて岩盤規制の改革を進めることが一番必要であるにもかかわらず、それがほとんど進みそうにないことです。

 実際、おそらく新たな規制改革のアプローチである“サンドボックス”の具体的な制度設計は行われるでしょうが、これは今年前半の成長戦略ですでに決定したことがようやく具体化するに過ぎません。

 また、安倍首相は規制改革会議で“電波割当制度の改革”などに言及していますが、どうやらこれも、公共用電波を民間もある程度使えるようにするという、電波を所管する総務省の官僚が許容する範囲に止まり、電波割当へのオークション制度の導入といった本格的な改革が進む気配はありません。

 国家戦略特区も相変わらず活動が停滞し続けていることを考えると、“生産性革命”の本丸となるべき岩盤規制の改革はほとんど進みそうにないのです。

「筋悪」の政策ばかりが実現?
見過ごせない3つの問題点

 その一方で、報道を見ていると、政策としてあまり筋の良くないものはどんどん実現しそうです。現段階でもすでに3点の問題点を指摘できます。

 第一は、中小企業支援の政策です。設備投資を行った中小企業への減税措置の強化やものづくり補助金などが補正予算で措置されそうですが、こうした措置は結果的に非効率な中小企業の延命につながり、生産性の向上とは反対の結果をもたらしかねません。