理容室の経費は〈固定費用〉がほとんど

「ついでに、経済学では、費用に〈固定費用〉と〈可変費用〉というのがあるんや」

・固定費用:生産量に関係なく生じる一定の費用。

・可変費用:財やサービスの生産量に応じて変わる費用。

「まんじゅう工場やったら、工場施設は変わらないから固定費用、アンコを作る小豆は作れば作るほど総額が増えるから可変費用、と考えるのが一般的や」

理容室の場合、〈固定費用〉とは、家賃や光熱費、人件費などお客さんの多い少ないに関わらずかかる費用。

〈可変費用〉とは、シャンプーや蒸しタオルなどお客さん1人あたりにかかる消耗品の費用となる。

「つまり、理容室の経営の特徴は、費用がほぼ〈固定費用〉やということなんや」

「なるほど」

「〈可変費用〉と〈固定費用〉がわかると〈損益分岐点〉という赤字を出さずにやっていける販売数量がわかるようになる。例えば、『ザンギリ』の店舗を使って、理容室をやる場合と鮮魚店をやる場合の損益分岐点を計算してみようやないか」

【固定費用】
資本設備を一定とした時、生産量の増減に関わりなく生じる一定の費用のことで、経済学用語。会計学では「固定費」と言う。人件費と経費(広告宣伝費、交際費、家賃、水道光熱費、リース料など)が主なもの。

【可変費用】
資本設備を一定とした時、生産量や売上に比例して増減する費用のことで、経済学用語。会計学では「変動費」と言う。主に、原材料費、仕入原価、販売手数料、消耗品費など。

【損益分岐点】
赤字を出さずにやっていける販売数量。