11月21日、ドイツのメルケル首相(写真右)が率いる保守与党と自由民主党、緑の党の連立協議が決裂したことで、独仏主導による欧州改革が大きく前進する望みはかつてないほど薄れてきている。パリで8月撮影(2017年 ロイター/Charles Platiau)

[ベルリン 21日 ロイター] - つい半年前を見れば、欧州連合(EU)とユーロ圏の統合深化のための改革に向けた独仏首脳の足並みは見事にそろっていた。フランス大統領選に勝利したマクロン氏が欧州の再始動を約束し、首相4選が確実視されていたドイツのメルケル氏がこれに呼応する姿勢を表明していたからだ。

 ところが今週、メルケル氏が率いる保守与党と自由民主党、緑の党の連立協議が決裂したことで、独仏主導による欧州改革が大きく前進する望みはかつてないほど薄れてきている。

 メルケル氏の選挙プログラム策定に協力したエコノミスト、ジャン・ピサーニ・フェリー氏は「政治的な不透明感がライン川を越えて広がっている。欧州は明確な立場を持つ強力なドイツの政府がいることが当たり前になっていたが、それは当面なくなるかもしれない」と話した。

 ドイツが今後しばらく政治空白に見舞われれば、ユーロ圏の統治改革やEUの防衛協力拡大、新たな移民政策の取りまとめなど既に合意への道筋が狭まっている問題は解決がさらに難しくなるだろう。

 もしドイツが再選挙実施を余儀なくされた場合、新政権が発足する来年夏まで他の欧州諸国は協議することができない。そのころまでには欧州は、英国のEU離脱交渉で重大局面に突入する一方、長期的なEU予算を巡る議論への準備をしながら、欧州議会選挙への態勢も整えるという状況に置かれる。

 ユーロ圏の指導者は12月の特別首脳会議で統合深化の議論を開始する予定で、EUのトゥスク大統領は来年6月までに何らかの結論を導き出すよう提案している。だがそうしたシナリオ通りに事態が進展する公算は乏しく議論は先送りされそうだ、と複数の当局者は話す。

 あるユーロ圏の高官は「ドイツに国民の負託を受けていない政府しか存在しない中で、現時点で各国首脳が12月ないし来年6月にどんな動き方ができるのか見当がつかない」と打ち明けた。