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デジタル時代を勝ち抜くための ビジネスリスクマネジメント

「攻めのIT」と「守りのIT」は表裏一体

上原 聖
【第1回】 2017年12月13日
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複雑化するリスクマネジメント

 では、現在のリスクマネジメントを難しくしている要因とは何であろうか。その一つとしては、昨今のデジタル時代において、リスクを特定すること自体が難しくなっている点が挙げられる。実際に、2017年3月に公表された米国公認会計士協会の調査「8th Annual AICPA & NC State Poole College of Management Survey」によると、約7割の組織(企業および非営利組織)は、過去5年間にリスクの量と複雑さが大幅に増加したと回答している。

 従って、ビジネス戦略を準備する上では、法令や基準に従うだけの“既成”のリスクマネジメントではなく、ビジネス戦略の目的や方針を十分に反映した“特注”のリスクマネジメントが必要となる。つまりは、既成の枠組みでは捉えきれない、ガバナンス・リスク・コンプライアンス(以下、GRC)全ての領域にまたがる、全社横断的なリスクマネジメントプログラムを構築し、ビジネス展開をする上での不確定要素をできるだけ炙り出し、対処していく活動が必要となる。

 一方で、この特注のリスクマネジメントに関するプログラムを実際に運用することで、ビジネスパフォーマンスが向上したとする調査結果もある。

 具体的には、2017年2月に公表されたIDC社の調査「Quantitatively analyzed return across 6 FIs and 1 HC provider」によると、GRCに関するプログラムを積極的に活用する企業は、リスク評価の効率が33%高まったこと、加えて、63%の企業がより迅速にセキュリティインシデントを解決できたこと、そして、成熟したリスクマネジメントプログラムを活用することで収益性が10%高まった、という結果をもたらしている。

 これは、リスクマネジメント単体による結果ではなく、先に述べたビジネスの成長に直結するリスクマネジメントプログラムを実践した結果であることを忘れてはならない。

 つまりは、リスクマネジメントによって「デジタルトランスフォーメーション」が促進されたこと、新市場参入による「コンプライアンス」要件や「合併・買収」による価値を理解し、投資対効果(ROI)が明確になったこと、そして「パートナリング」によるメリット・デメリットを理解したうえで、アライアンスを進めていくことが可能になった結果であると言えよう。

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デジタル時代の目に見えないリスクをどう捕捉するのか。経営の実務に資する「リスクマネジメント」について、調査結果や事例を交えながら解説する。

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