注目された大阪のダブル選挙は、大方の予想通り「大阪維新の会」の圧勝で終わった。

 同会代表の橋下徹前知事は、大阪市長選で75万余票を獲得。民主・自民の二大政党などが支援する平松邦夫現市長に23万票の大差で当選した。

 そして府知事選も同会幹事長の松井一郎前府議が、2位の倉田薫前池田市長に80万票差の200万票を越える得票で当選した。

 どんな選挙でもそうだが、選挙結果には何らかのサプライズがあるもの。予想外の出来事が伴うものだ。

 だが、私が見るところ今回のダブル選挙の結果にはサプライズがない。すべてが予想通りの結果という印象だ。

「維新の会」が大勝した2つの要因

 なぜ維新の会が大勝したか。さまざまな要因があるのはもちろんだが、やはり突出した2つの大きな要因が指摘できる。

(1)行政不信、官僚不信の流れが加速していること。

(2)公約を守ることが今までの実績で示されていること。

 この2点は、国政選挙ばかりか地方選挙においても、今や有権者の投票行動を決める決定的な要因となっている。現在の日本の政治状態の底流として加速度的に水量を増していると言えるのだ。

 昨年の“愛知の陣”も、今回の“大阪の陣”も基本的には全く同じ現象である。

 この流れは、2年余の民主党政権の経過によって格段に勢いを強めることになった。

 官僚が敷いた軌道に乗って走っているだけの民主党政権。公約を履行せず、公約しないことを履行しようとする民主党政権――。民主党政権に対するそんなイメージは既に定着してきている。

 愛知の「減税」と同じように、今回の橋下陣営は、「大阪都」の構想を高く掲げた。

 これらに賛同した得票も少なくないだろうが、やはり前述した2点が選挙の行方を左右したことは確かであろう。