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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

4大卒があぶれ職業学校卒が浮上する
西北の建設現場に感じた労働力不足時代の足音

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第81回】 2011年12月1日
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 晩秋と表現した方がいいか、それとも初冬と書いた方が正確か、と迷う11月下旬、「シルクロードの町」蘭州に数日滞在した。今年3度目の訪問だ。

 夏に快適な避暑地として、近年知名度を上げてきた同市は、冬になると寒さが厳しいだろうと身構えていたが、暖冬のせいかそれほど寒くなかった。本格的な冬の訪れはこれからだと指摘する地元の声もあったが、とにかく私が同市に滞在していた間は、寒さをそれほど感じずに済んだ。

赤い横断幕の内容に変化を感じた

 現在、空港の周辺で進められている開発区の造成工事現場では、建物の基礎を作るための杭を、土の中に打ち込む槌の音があちらこちらから聞こえる。開発区管理委員会が入る予定のオフィスビルの建設現場を視察した時、現場に掛けられていた赤い横断幕の内容に興味を覚えた。

 こうした赤い横断幕は大抵、政治的なスローガンか建設会社の社名、または安全第一といった注意書きのようなものだ。しかし、蘭州新区の工事現場で私が見た横断幕にはいずれも「労務」という文字が入っている。つまりこの工事現場で働いている労働者の一部が、労務会社の派遣によるものだとアピールしているのだ。言い換えれば、ここで働いている労働者の権利や福祉は、私たちが責任を持って保障している、と周知するための行動だと見ていいだろう。

 実際にどこまで労働関連の法規をまもっているかは分からないが、少なくともこのようにアピールしなければならないようになったことは、一つの進歩だと評価していいと思う。労働力が豊富で働き口が少ないと見られる西北の地だけに、このような労務供給の現場を目の当たりにしてすこし驚いた。つまり、人手不足時代が近づく足音がこの西北の工事現場にもこだまし始めているのだ。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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