ティレットは、まだ日本ではそれほど馴染みのない時計ブランドかもしれない。ただ、そのモデルを一度見ると、忘れられないほどのインパクトを持った個性的な腕時計であることは確かだ。その創業者兼CEOであるダニエル・ラザーさんが来日したので、話をうかがった。

ブレない個性こそ、ティレット・ウォッチの強味であるクラシッQ メテオライト 自動巻き、SSケース、43㎜径 120万円

 

 ティレットの創業は2004年。100年以上の歴史を持つブランドが数多ある時計界においては、かなりの新興ブランドだ。しかも、拠点はニューヨーク。しかし、この15年にも満たない期間に「セカンドチャンス」「オートマティッククロノグラフ」「ゴッサム」「モーメンツ」「ブリーティングハート」など、多くのユニークな腕時計を世に送り出し、独特のポジションを築いている。

 そんなティレットを率いるダニエル・ラザーさんが、今年バーゼルで発表された新作「クラシッQ」の実機を持って来日した。

「ティレットのお客様の中には、ウォールストリートなど金融街で成功している人が結構いらっしゃるのですが、そのビジネスマンたちから“スーツに合う時計が欲しい”という要望をいただいたのです。彼らの多くは『オートマティッククロノグラフ』を持っており、それだとダイヤモンドがセットされていたりして、個性はあるんですけど、ビジネスの場にはつけていけないということなんです。それで製作したのがこの『クラシッQ』です」

 たしかに、これまでのティレットにはないシンプルな腕時計である。

「そうはいっても、他のモデルと繋がりがないといけない。そこで、この『クラシッQ』は素材を工夫してます。ダイヤル素材にメテオライトやアベンチュリンを使っているのです。それに加え、ディテールをしっかり作り込んでいる。メテオライトのダイヤルはフラットではないし、ロゴやインデックスも別々の金属パーツを組合せていたり、リュウズも「T」のロゴをカットアウトしたものを埋め込んでいる。また、他のモデルと同じくストラップがワンタッチで着脱可能なので、自分でカスタマイズができる。こういうディテールにまで凝った、シンプルな中にも細かい技が詰まった作りこそがティレットなのです」