もちろん、組織を破壊するような本当に危険な人間には仕事を任せるわけにはいかないのですが、部下に経験を積ませるためには仕事を任せるしかないのです。その前提条件を忘れないでください。

その2)自分でやったほうがいい結果が出ると思っている

本コラム著者・池本克之さんの新刊

 それは、当たり前です。自分より経験が浅く、自分より知識やスキルもない部下がいい結果を出せないのは当然のことです。そんな部下を成長させ、結果を出せるように導くのが上司の役割です。

「自分がやったほうがうまくいく」――こういう思いが強い人は、自分の能力や経験に自信がある、優秀なタイプでしょう。優秀であるがゆえに、まわりにいる部下が自分よりも劣っているように見えてしまうのです。そのため、「部下に任せていては部署全体の成績が落ちてしまう」といった思考になりがちです。

 しかし、仮に部下の能力が劣っているとしても、自分一人であげられる成果は100のまま。それを200や300の成果にするのが上司の使命です。それは部下の力を活用しないと実現できません。

 会社がリーダーに求めているのは、たった一人で成果をあげることではなく、チーム全体で大きな成果をあげることなのです。

その3)「部下に嫌われたくない」と考えている

 私の知り合いに、毎年夏が繁忙期になる会社の経営者がいます。

 それ以外の季節は、彼は普通に社員に仕事を任せています。ところが、夏になるとどの社員も多忙なのがわかっているので、「任せるのは悪いな」と思って、自分でやってしまうのです。

 彼は数ヵ月間、自分が大変な思いをすればそれですむ、と考えているのですが、それだと彼の能力だけが伸び、社員の能力は頭打ちになります。そのうえ、自分がパンクしたら、会社がつぶれるかもしれないのです。